1970年に生産終了! 今でも多くのマニアに支持されているSシリーズ|1969年式 ホンダ S800 M

フロントフェンダーにあるHONDAのロゴ下に、S800では専用のエンブレムが付き、600と区別される。

       
【1969年式 ホンダ S800 M Vol.3】

【2】から続く

 ホンダがスポーツに施した独自の設計はエンジンのみならず、車台の設計にも注入された。一般的なリジッドアクスルのデフホーシングを車台フロント側にオフセット。その両端にバイクのようなスイング式のチェーンケースを配置した、チェーン駆動による左右独立懸架トレーリングアーム式という、ホンダS独特のリアサスペンションシステムを採用した。

 しかし、S800の途中からこのチェーンドライブを廃止し、以降は一般的なリジッドアクスルを採用する。エンジンのニードルローラーベアリングとともに、バイクメーカーらしいアイデアと、チェーンドライブの独特な走行感覚もホンダSのキャラクターを強く主張していたが、構造が複雑であることからホンダとしては生産性を優先して変更したのだろう。

 最終型であるS800Mは1970年に生産終了。Sシリーズはその高性能エンジンと個性的なキャラクターから、今でも多くのマニアに支持されている。

▶▶▶【画像18枚】S800では4速全段がフルシンクロとなる。それ以前は1速がノンシンクロだったトランスミッションなど



厚いパッドに覆われたダッシュボード。ステアリングは本来はウッドだがレザー巻きに変更してある。





横方向の滑り止めとなる縦ステッチのシート。この年式では本来はヘッドレストが備わる。





足元の各種ペダル類は間隔がタイトでスポーツ走行に向いている。

【1】【2】から続く

1969年式 ホンダ S800 M(AS800)
Specification 諸元
全長 3335mm
全幅 1400mm
全高 1215mm
ホイールベース 2000mm
トレッド前/後 1162 / 1150mm
最低地上高 190mm
室内長 840mm
室内幅 1195mm
室内高 935mm
車両重量 755kg
乗車定員 2名
最高速度 160km / h
0→400m加速 16.9秒
登坂能力sinθ 0.361
最小回転半径 4.4m
エンジン型式 AS800E型
エンジン種類 水冷直列4気筒DOHC
総排気量 791cc
ボア×ストローク 60.0×70.0mm
圧縮比 9.2:1
最高出力 70ps / 8000rpm
最大トルク 6.7kg-m / 6000rpm
変速比 1速 4.001 / 2速 2.480 / 3速 1.613 / 4速 1.143 / 後退 4.572
最終減速比 4.714
燃料タンク容量 30L
ステアリング形式 ラック&ピニオン式
サスペンション前/後 ダブルウイッシュボーン・コイル / 5リンクリジッド・コイル
ブレーキ前/後 ディスク / ドラム
タイヤ前後とも 145SR13
発売当時価格 75万円


初出:ノスタルジックヒーロー 2016年 6月号 Vol.175(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1969年式 ホンダ S800 M(全3記事)

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photo:RYOTA SATO/佐藤亮太

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