31㎞/Lという驚異的な燃費と高い運動性能を両立!|1968年式 トヨタ スポーツ 800 Vol.2

高回転時の吸入効率向上を狙ったツインキャブレターを採用。この個体はエアクリーナーケースをウイングナットで留めているが、初期モデルは2本のビスで留められていた。

       
【1968年式 トヨタ スポーツ 800 Vol.2】

【1】から続く

 エンジンは、パブリカに搭載されていたU型を排気量アップしてツインキャブレターを装着した、水平対向2気筒OHVの2U型。最高出力は45 psだが、空力性能の良さと軽量ボディを武器に、最高時速155km/h、ゼロヨン加速18.4秒を達成。カタログにはこれらの数値がいたるところに記述されていることから、トヨタが運動性能の高さを大きくアピールしていたことがわかる。その一方で、31km/Lという驚異的な燃費性能も実現しており、現代のエコカーにも匹敵するエコ・スポーツカーだった。


▶▶▶【画像23枚】フロントグリルもマイナーチェンジでデザインが変更された部分。オーバーヒートやオーバークールを防止するため、グリル奥に備わる可変式のフラップ「クーリングダクト」など

 こうして、けっしてパワフルではないエンジンを搭載するものの、圧倒的な軽さと空力性能の良さで抜群の運動性能を獲得したスポーツ800は、モータースポーツの世界でも活躍。ライバルのホンダS600と数々の名勝負を繰り広げ、輝かしい戦績を残してきたのである。

 そして、手頃な車両価格のほか、このようなレースでの活躍もあり、約4年半の販売期間で3000台あまりを生産。国産車を代表するライトウエイトスポーツカーとして、今日でも多くの愛好家に支持されている。ここに登場する個体は、自然災害を乗り越え、熱心なオーナーの手によって極上のコンディションを維持している1台だ。




エンジンルーム内で真っ先に目に入るブルーの筒は、オプションで設定されていた燃焼式ヒーターのユニット。ここでガソリンを燃やし、その熱を室内に送り込む。





ラジエーターなどの水回り部品がない空冷式のため、エンジンルームは非常にシンプル。新車と見紛うほどのコンディションを維持しており、エアクリーナーケースの美しさがひときわ目を引く。






マイナーチェンジでナンバー灯の上にバックランプが追加され、オーバーライダー状のバンパーも形状が変更された。


1968年式 トヨタ スポーツ 800(UP15)
Specification 諸元
全長 3610mm
全幅 1465mm
全高 1175mm
ホイールベース 2000mm
トレッド 前 / 後 1203 / 1160mm
最低地上高 175mm
室内長 785mm
室内幅 1250mm
室内高 965mm
車両重量 580kg
乗車定員 2名
最高速度 155km / h
0→400m加速 18.4秒
登坂能力sinθ 0.441
最小回転半径 4.3m
エンジン型式 2U型
エンジン種類 空冷水平対向2気筒OHV
総排気量 790cc
ボア×ストローク 83.0×73.0mm
圧縮比 9.0:1
最高出力 45ps / 5400rpm
最大トルク 6.8kg-m / 3800rpm
トランスミッション型式 前進4段後退 1段オールシンクロ
変速比 1速 4.200 / 2速 2.400 / 3速 1.550 / 4速 1.125 / 後退 4.33
最終減速比 3.300
燃料タンク容量 30L
ステアリング形式 ウォームセクタロータ(18:1)
サスペンション前 / 後 トーションバー式独立懸架 / 非対称半楕円リーフスプリング半浮動式
ブレーキ前 / 後 ツーリーディング / リーディングトレーリング
ホイール前後とも スチール(4J)
タイヤ前後とも 6.00-12-4PR
発売当時価格 59.2万円


【3】に続く

初出:Nostalgic Hero 2016年 4月号 vol.174(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1968年式 トヨタ スポーツ 800(全3記事)

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【1】から続く

text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : KAZUHISA MASUDA/益田和久

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