グリルの中に虫「日本じゃ見たことない大きな虫なんですよ」。最大のトラブルはオイル漏れ 〜2016〜|1970年式 日産 スカイライン 2000 GT-R Vol.3

「走ってると虫だらけで、止まるたびに拭いてました。日本じゃ見たことない大きな虫なんですよ」グリルの中まで虫が入り込んでいた。

       
先行して配信した別記事にて紹介したスカイライン2000GT-R、2015年に参戦となったアメリカ横断レースを支えたスタッフの内の1人、伊藤有希さんは26歳の若き女子メカニック。クルマ好きだった学生時代、倍近くも年の離れたハコスカへの感想、グレートレースの思い出、そしてモータースポーツへの思いを語ってもらった。

【1970年式 日産 スカイライン 2000 GT-R Vol.3】【2】から続く

 最大のトラブルはオイル漏れ。

「お昼の時間だったんですが、止まってられるのはご飯を食べる時間しかないし、とにかくオイルを継ぎ足して、ゴールまで来てもらうしかない。その夜ホテルに持ち帰って、駐車場での作業。原因はオイルクーラーで、配管をバイパスさせて走ることになりました」
 そんな苦労もありながら、見事ビンゴ号は完走を果たす。

「もちろんキズがない方がいいんだけど、そのキズも、アメリカのグレートレースで付いたキズだと思うと愛しくなるし、サビひとつひとつも、落とそうと思えば落とせるけど、あのとき雨が降って、すぐに拭ける状況になかったからついたサビだと思うと、落とすのが惜しくなったりとか、そういう所がかわいいと思いますよね」

 ポルシェカレラカップも2015年は年10戦の参戦。
「レース期間中はほぼ一週間カンヅメですね。こっちでメンテナンスして、向こうに行って荷下ろしして、設営とかもやって、夜遅く帰って翌朝5時に起きるとか、そういうのが一週間。それが楽しいんですよね」

 古いクルマから最新のマシンまで、ビンゴスポーツのクルマには伊藤さんの愛情が注がれている。


▶▶▶【画像12枚】「小さくて便利なんですよ、レースの時とか。あと見た目がかわいいっていうのもあるので」という伊藤さん愛用のハゼットのツールセットなど



中央のピンクの表紙がグレートレースのサポートスタッフ用のマニュアル。サポートなしで完走したすごいチームもあったそうだ。




ポルシェカレラカップにもレースメカとしてかかわる伊藤さん。シーズン中は朝から晩まで忙しいが、「それが楽しいんですよね」と笑顔を見せる。





メカニック以外に、事務仕事もこなす伊藤さん。愛用のノートパソコンは、サーキットでホコリが入らないようカスタマイズしている。


初出:Nostalgic Hero 2016年 2月号 vol.173(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1970年式 日産 スカイライン 2000 GT-R(全3記事)

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Photo : KAZUHISA MASUDA/益田和久

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