「PGC10」に望まれるものと、オーナーの望んだもの|1969年式 日産 スカイライン 2000 GT-R Vol.1

貴重な年式にもひるむことなく、自分たちの理想を突き詰めるオーナーと製作ショップ。

       
【1969年式 日産 スカイライン 2000 GT-R Vol.1】

GT-Rの常識を覆す、フルカスタムへ挑戦!  

L型は当然で、S20型であってもチューニングの手が入るC10スカイラインの世界。
ボディにおいてもセダンとハードトップの違いを問わず、
モディファイを楽しむオーナーたちが多いが、1台だけ「聖域」とされるモデルがある。
それは貴重であるがゆえ、手を付けないことを美徳とする1969年式のセダンなのだが、
この風潮に逆らい、今、1台のフルモディファイドGT-Rが賛否両論を巻き起こす!  



貴重な年式にもひるむことなく、自分たちの理想を突き詰める

 「賛否両論」。現場に居合わせたPGC10スカイラインの関係者たちは、自分たちが作り上げた1台を、こんな刺激的な言葉で表現していた。シルバーのボディにスパルタンなアイテムを合わせた、いわゆるスピードを連装させる4ドアのコーディネートは、ハコスカの世界でも、もっと広く旧車モディファイの世界を見回しても、決してトリッキーなものではない。どちらかといえば、センスのいい部類に入るものだ。だから賛否の「賛」には自然と納得できるが、こんなにもバランスのいいクルマに対して「否」の話題が出てくること自体が、どうにも腑に落ちない。すると、オーナーがヒントを与えてくれた。「1969年式ですから」と。


【画像37枚】「ただのGT-R」とは違うことが明らかな、ハイ/ローともにHIDにアップデートされた4灯ヘッドライト、カーボンのフロントバンパー、ボディ同色でフィニッシュするスポイラーなど

 そう、1969年に作られた初代GT‐Rは、専用の外装パーツが多く、イジって遊ぶというよりも、貴重なカタチを残したままノーマル然と乗るのをよしとする意見が多数派を占めていて、手を加えることに反旗を翻す声が多いモデルなのだ。なのに、ルックスにも内装にもエンジンルームにも、セオリー度外視の新たなる手法が用いられたとなれば、確かに「否」を唱える外野の声は勢いを増すばかりだ。


 しかし、オーナーと製作ショップである「RSスタート」は、あえて1969年式の固定観念に波風を立て、賛否両論を巻き起こす道を選んだ。そこにビジネス的な打算や名誉欲はない。あくまでも「現代の最高技術でクルマを仕上げたい」というオーナーとエンジニアの純粋さだけが、原動力だったのだ。



伝統的なイメージを覆し、ホイールにはワーク製のマイスターCR01を履かせる。同じ黒でもディスクはツヤ消し、リムはツヤありと、トーンを変えることで表情を変えてみせる。サイズは16×7Jと8.5J。タイヤはポテンザRE-01Rの195/45、205/45だ。





フルLED化で明るさと印象を向上させたテールランプ。


1969年式 日産 スカイライン 2000 GT-R(PGC10)
諸元 SPECIFICATION
● エクステリア : RSスタート製カーボンバンパー(前後)/リップスポイラー(ボディ同色)/ドライカーボンボンネット/
ドライカーボンフェンダーミラー、HIDヘッドライト(HI/LO)、テールランプLED化
● エンジン : S20型改、RSスタート製φ82.5mm鍛造ハイコンプピストン(圧縮比10.5)、クランクバランス取り、
コンロッドメタル&クランクメタル交換
● 吸排気系 : ソレックス40PHH(純正OH)、100mmファンネル、RSスタート製6-1タコ足/
音量切り替え式φ70mmマフラー(出口デュアル)
● 点火系 : 永井電子機器MDI-D
● 冷却系 : RSスタート製アルミラジエーター、セトラブ製オイルクーラー
● 燃料系 : ニスモ製燃料ポンプ(2基)
● 駆動系 : RSスタート製シングル強化クラッチ/クロモリフライホイール
● サスペンション : RSスタート製オーリンズ車高調(F)ワイドトレッドロワアーム/強化タイロッドエンド、(R)キャンバーゼロ加工
● ブレーキ : RSスタート製ブレンボ4ポットキャリパー&φ280mmローター(タイプⅡ)、7/8マスターシリンダー
● インテリア : メーター照度アップ、ナルディバックスキンステアリング、ワークスベル製ラフィックスGTC、
RSスタート製アルカンターラダッシュマット、内装オリジナルデザインで張り替え
(レカロRS-G、センターコンソール、リアシート)、ワークスタイプルームミラー
● タイヤ : ブリヂストン ポテンザRE-01R(F)195/45R16、(R)205/45R16
● ホイール : ワーク マイスターCR01マットカーボン(MGM)+ツヤ消しブラックアルマイトリム(F)16×7.0J、 (R)16×8.5J

【2】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2016年11月号 Vol.011(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1969年式 日産 スカイライン 2000 GT-R(全3記事)

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text : AKIO SATO/佐藤昭夫 photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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