「1969年式の呪縛にとらわれず、とにかくカッコいいGT‐Rにしたかったんです」|1969年式 日産 スカイライン 2000 GT-R Vol.3

ステアリングはナルディのバックスキングリップ。乗降のしやすさを考慮して、ハネ上げ式のワークスベルのボスを組み込んでいる。

       
GT-Rの常識を覆す、フルカスタムへ挑戦!  

L型は当然で、S20型であってもチューニングの手が入るC10スカイラインの世界。
ボディにおいてもセダンとハードトップの違いを問わず、モディファイを楽しむオーナーたちが多いが、1台だけ「聖域」とされるモデルがある。
それは貴重であるがゆえ、手を付けないことを美徳とする1969年式のセダンなのだが、この風潮に逆らい、今、1台のフルモディファイドGT-Rが賛否両論を巻き起こす!  

【1969年式 日産 スカイライン 2000 GT-R Vol.3】【2】から続く




 パワーを受け止める足まわりにも、RSスタートのオリジナルパーツが躍動。車高を落としてもストローク量を確保するオリジナルの減衰力に仕上げられたオーリンズの車高調を筆頭に、ブレーキにはブレンボのキャリパーとローターのキット、さらにフロントにはワイドトレッドロワアームを組み込み、リアはターンバックル式キャンバーゼロ加工を行うなど、走行性能に直結するものばかりが厳選されている。

 そしてボディには、「なんちゃって」ではなく、リアルを追求したRSスタートオリジナルのドライカーボンボンネットとフェンダーミラーが居並び、ライト類はHIDとLEDにアップデート済みに。内装に目を転じれば、レカロシートを始め、リアシート、コンソールなどが、近年の高級車でおなじみの素材アルカンターラで張り替えられ、旧車うんぬんという狭い世界でなく、他ジャンルのクルマと比べても遜色のない高みへと到達しているのだ。


【画像37枚】見落としがちなセンターコンソールのサイド部分もアルカンターラでフィニッシュ。コンセプトに沿ってここまで手をかけたからこそ、トータルで見応えある内外装など


「1969年式の呪縛にとらわれず、とにかくカッコいいGT‐Rにしたかったんです」と、オーナーのSさんはモディファイの理由について話してくれた。クルマについて賛否両論あるのは、ウラを返せば、このGT‐Rをついつい話題にしたくなるほどの魅力が備わっているからこそ。賛否両論、多いに結構。議論が高まれば高まるほど、この1969年式GT‐Rの輝きも増していく。





大人が乗るGT-Rだからこそ、ダッシュボードにはアルカンターラのカバーを敷き、高級感をもにじませる。




フロントシート用に、レカロRSGのバケットシートを新品で購入。ただし、一度も使うことなく、中央部を黒のアルカンターラと赤いレザーのストライプで張り替えている。




アルカンターラはドライバーやナビゲーターが座る部分だけではなく、シートバックまでも覆い尽くす。




純正のリアシートを加工してデザインを変え、表地をフロントシート同様にレザー、アルカンターラ、赤のストライプでまとめて統一感を出す。

1969年式 日産 スカイライン 2000 GT-R(PGC10)
諸元 SPECIFICATION
● エクステリア : RSスタート製カーボンバンパー(前後)/リップスポイラー(ボディ同色)/ドライカーボンボンネット/
ドライカーボンフェンダーミラー、HIDヘッドライト(HI/LO)、テールランプLED化
● エンジン : S20型改、RSスタート製φ82.5mm鍛造ハイコンプピストン(圧縮比10.5)、クランクバランス取り、
コンロッドメタル&クランクメタル交換
● 吸排気系 : ソレックス40PHH(純正OH)、100mmファンネル、RSスタート製6-1タコ足/
音量切り替え式φ70mmマフラー(出口デュアル)
● 点火系 : 永井電子機器MDI-D
● 冷却系 : RSスタート製アルミラジエーター、セトラブ製オイルクーラー
● 燃料系 : ニスモ製燃料ポンプ(2基)
● 駆動系 : RSスタート製シングル強化クラッチ/クロモリフライホイール
● サスペンション : RSスタート製オーリンズ車高調(F)ワイドトレッドロワアーム/強化タイロッドエンド、(R)キャンバーゼロ加工
● ブレーキ : RSスタート製ブレンボ4ポットキャリパー&φ280mmローター(タイプⅡ)、7/8マスターシリンダー
● インテリア : メーター照度アップ、ナルディバックスキンステアリング、ワークスベル製ラフィックスGTC、
RSスタート製アルカンターラダッシュマット、内装オリジナルデザインで張り替え
(レカロRS-G、センターコンソール、リアシート)、ワークスタイプルームミラー
● タイヤ : ブリヂストン ポテンザRE-01R(F)195/45R16、(R)205/45R16
● ホイール : ワーク マイスターCR01マットカーボン(MGM)+ツヤ消しブラックアルマイトリム(F)16×7.0J、 (R)16×8.5J


初出:ノスタルジックスピード 2016年11月号 Vol.011(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1969年式 日産 スカイライン 2000 GT-R(全3記事)

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text : AKIO SATO/佐藤昭夫 photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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