S20型本来の長所であるスムーズな高回転を約束する精密オーバーホール|1969年式 日産 スカイライン 2000 GT-R Vol.2

貴重な1969年式、初代GT-Rの呪縛にとらわれず、現代最高技術の結晶を目指した野心的プロジェクト。

       
GT-Rの常識を覆す、フルカスタムへ挑戦!  

L型は当然で、S20型であってもチューニングの手が入るC10スカイラインの世界。
ボディにおいてもセダンとハードトップの違いを問わず、モディファイを楽しむオーナーたちが多いが、1台だけ「聖域」とされるモデルがある。
それは貴重であるがゆえ、手を付けないことを美徳とする1969年式のセダンなのだが、この風潮に逆らい、今、1台のフルモディファイドGT-Rが賛否両論を巻き起こす!  

【1969年式 日産 スカイライン 2000 GT-R Vol.2】【1】から続く




 GT‐Rの核となるS20型エンジンは、純正よりもわずかに径の大きいRSスタート製φ82.5mmハイコンプピストンを組み、クランクシャフトのバランス取り、コンロッドとクランクのメタル交換などの、精密オーバーホールのメニューをこなすことによって、S20型本来の長所であるスムーズな高回転を約束する。このへんはヘタに欲を出してエンジン本体の安全マージンを下げるよりも、日常でも使える手堅さを第一とする。長年S20型に携わってきた専門店ならではのプライドだ。

 代わりにエンジンルーム全体のルックス向上に精力を傾け、S20型では珍しいブラウンのヘッドカバー塗装や、電気系の配線を極力隠してシンプルな見栄えにする「ワイヤータック」と呼ばれるテクニックを投入。RSスタート製の美しい6‐1等長タコ足とのコラボからは、定番から一歩抜きん出たオトナの色気があふれ出している。


【画像37枚】S20型では珍しいブラウンのヘッドカバー塗装をされたエンジンや、美しすぎる6-1のタコ足など



安全マージンを十分にとったチューンを施すS20型エンジンを収めるエンジンルーム。配線などを極力隠す「ワイヤータック」という手法を用いてシンプルに仕上げている。




吸気関係は純正のインマニに、オーバーホール済みのミクニソレックス40PHH。ファンネルは100mmの組み合わせだ。




ヘッドとカラーリングをそろえたアルミラジエーターもRSスタートの製品で、このほかセトラブの12段オイルクーラーもセットし、冷却能力のアップを図っている。


1969年式 日産 スカイライン 2000 GT-R(PGC10)
諸元 SPECIFICATION
● エクステリア : RSスタート製カーボンバンパー(前後)/リップスポイラー(ボディ同色)/ドライカーボンボンネット/
ドライカーボンフェンダーミラー、HIDヘッドライト(HI/LO)、テールランプLED化
● エンジン : S20型改、RSスタート製φ82.5mm鍛造ハイコンプピストン(圧縮比10.5)、クランクバランス取り、
コンロッドメタル&クランクメタル交換
● 吸排気系 : ソレックス40PHH(純正OH)、100mmファンネル、RSスタート製6-1タコ足/
音量切り替え式φ70mmマフラー(出口デュアル)
● 点火系 : 永井電子機器MDI-D
● 冷却系 : RSスタート製アルミラジエーター、セトラブ製オイルクーラー
● 燃料系 : ニスモ製燃料ポンプ(2基)
● 駆動系 : RSスタート製シングル強化クラッチ/クロモリフライホイール
● サスペンション : RSスタート製オーリンズ車高調(F)ワイドトレッドロワアーム/強化タイロッドエンド、(R)キャンバーゼロ加工
● ブレーキ : RSスタート製ブレンボ4ポットキャリパー&φ280mmローター(タイプⅡ)、7/8マスターシリンダー
● インテリア : メーター照度アップ、ナルディバックスキンステアリング、ワークスベル製ラフィックスGTC、
RSスタート製アルカンターラダッシュマット、内装オリジナルデザインで張り替え
(レカロRS-G、センターコンソール、リアシート)、ワークスタイプルームミラー
● タイヤ : ブリヂストン ポテンザRE-01R(F)195/45R16、(R)205/45R16
● ホイール : ワーク マイスターCR01マットカーボン(MGM)+ツヤ消しブラックアルマイトリム(F)16×7.0J、 (R)16×8.5J

【3】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2016年11月号 Vol.011(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1969年式 日産 スカイライン 2000 GT-R(全3記事)

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text : AKIO SATO/佐藤昭夫 photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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