プレッシャーリング内にスプリングを内蔵することで、純正オープンデフ同等の低イニシャルな効きと100%完全ロックの安定感を両立させたスーパーロックLSD。スプラインスルー形状のサイドギアも大きな特徴で、従来品と比較して1.5〜2倍のプレッシャーディスクをセットできる省スペース設計で、小型のLSDが実現している!
【チェリーX-1・R用 スーパーロックLSD Vol.2】
【1】から続く チェリーX-1・R用 スーパーロックLSDの開発は、LSD製作に自信を持つOS技研の技術力を持ってしても、かなりの難問。技術開発部の富松拓也チーフエンジニアがその理由を話した。
「見ての通り、チェリーX‐1・R用のデフは、インナーシャフトを受けるスプラインを持つ特殊な構造です。さらに、前期型より後期型ではミッションの容量、デフのサイズも大きくなっています。LSDの設計には、後期型のサイズが最低限必要で、そうなると前期には使えません。ミッションごと換装すればいいようですが、それがそうもいかないのです。前期と後期ではスプラインの歯数が1歯多いので、ミッションごと載せ替えるにしても、そのままでは前期型には使えません」
ちなみに、チームが走らせる車両は前期型で、ミッションは耐久性の高い後期用を使いたいというリクエスト。
「結論としては、スプラインシャフトとインナーシャフトの歯数を特別に合わせ、さらに適合するオイルシールを見つけ出しての対応になりました」
LSDの内部構造は、すでにリリースしている軽自動車用と同一。ここで、OSが特許を持つスプラインスルー形状のサイドギアが力を発揮した。一般的なサイドギアでは絶対に入らない枚数のディスクプレートがセットできたのだ。コンパクトなチェリーX‐1・RのLSDだが、ロック率は圧倒的で、高出力マシン用と機能性は同等だ。
今回市販するのは東大チーム用とは異なり、後期用のLSDだ。購入希望者は、まずは問い合わせてみよう!
>> 【画像13枚】レース専用ではなく、公道を走るラリーにも対応するモデルとなっているチェリーX-1・R用 スーパーロックLSDなど。スピードメーターのギアがしっかり組み込める設計になっている[スムーズに曲がれる1.1WAY]
カム角は進入側が3度、加速側が45度。アクセルOFF時はほぼフリーな状態で、FFもアンダーステアを気にせずスムーズなコーナリングが可能だ。
[この狭い中に6枚ディスク!]
軽自動車用と同じサイズに、これだけの枚数のディスクプレートが入るLSDは他にない。枚数が増えるほどロック率も耐久性も高くなる。
[小径ディスクは、軽自動車用]
チェリーX-1・RのLSDは、アルトやコペンなどの軽自動車用とほぼ同サイズとなる。組み込まれているディスクプレートも同じサイズが使われている。
OS技研 技術開発部 チーフエンジニア富松拓也さん
スーパーロックLSDを開発した富松さん。旧車用のパーツも新しい車種と同じように豊富にラインアップしており、なければワンオフ製作の相談にも乗ってくれるそうだ。「最近では、フェラーリ275GTBのLSDを納品しました」という、旧車乗りには頼れるエンジニアだ。
【3】に続く初出:ノスタルジックスピード vol.022 2019年11月号
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
チェリーX-1・R用 スーパーロックLSD(全2記事)関連記事:スーパーロックLSD 関連記事:OS技研 【1】から続く