東京大学とホンダ学園の合同チームのために!【1】チェリーX-1・R用 スーパーロックLSD

FF車のチェリーX-1・R用 スーパーロックLSD

       
プレッシャーリング内にスプリングを内蔵することで、純正オープンデフ同等の低イニシャルな効きと100%完全ロックの安定感を両立させたスーパーロックLSD。スプラインスルー形状のサイドギアも大きな特徴で、従来品と比較して1.5〜2倍のプレッシャーディスクをセットできる省スペース設計で、小型のLSDが実現している!

【チェリーX-1・R用 スーパーロックLSD Vol.1】

 東京大学とホンダ学園の学生たちが合同チームを結成し、参戦している「海外ヒストリックラリー参戦プロジェクト」。OS技研は、このプロジェクトに2015年から彼らが走らせるマシンメイクをサポートしている。これまで、トライアンフスピットファイア、スバル1300G、シビック1200RS、カローラ・レビンなどのサポートを行っており、ランサー1600GSRも加わる予定だ(2019年当時)。当時からラリーユースが多かったベース車両だが、旧車のためパーツの少なさがネック。ボディ補修すらままならない状態で、走りの性能を高めるチューニングパーツを探すのは、学生たちにとっては至難の技だ。

 パーツのワンオフ製作の相談も受け付けるOS技研は、彼らにとって正に最強のサポーター。ピストンの製作や機関部分の加工、修正など、これまでも多数のサポートを請け負ってきた。2019年、チェリーX‐1・R用LSDの開発も、このクルマでの参戦を決めた学生たちから相談を受けてスタートされたもの。

 ただし、LSDの開発に自信を持つOS技研の技術力を持ってしても、かなりの難問。技術開発部の富松拓也チーフエンジニアがその理由を話した。

>> 【画像13枚】開発にあたり、徹底検証された純正デフなど。前期と後期ではデフのサイズが異なり、後期はケースやシャフトがサイズアップされている。そのままでは前期に装着は難しい……



[循環をよくする広いオイル通路]
小型のLSDはディスク径が小さい分、熱をためやすい。そこで、解決方法としてオイルの通路をできるだけ大きく取って、循環をスムーズにしている。





[リングギアはキャップボルトで強化]
ケースは頑強なキャップボルト留めに変更している。ボルトの頭がミッションケースのブリーザー部分に干渉するため、組み付け時は若干の加工を要する。





[専用アウトプットギアシャフト]
サイドギア、ピニオンギアは高強度な熱間精密鍛造。サイドギアの側面にディスクプレートが付く省スペース設計だ。


【2】に続く

初出:ノスタルジックスピード vol.022 2019年11月号
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

チェリーX-1・R用 スーパーロックLSD(全2記事)

関連記事:スーパーロックLSD

関連記事:OS技研

text : ISAO KATSUMORI(ZOO)/勝森勇夫(ズー) photo : RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

RECOMMENDED

RELATED

RANKING