ARTでHOTな更科系ラットロッド620

       
チョップトップが似合うミニトラとして、日米トラッキンの歴史を支えてきたのが、今や旧車的な人気を誇る620ダットラ。エッジの効いた曲面が多様されたた独特のボディラインは、チョップトップといった低いルーフ化で商用車の野暮ったさがガラリと一新するのがこの車種流のダイゴ味だ。それゆえ昔々はショーユースのトラッキンでの象徴でもあったが、その逆ノリに邁進したヒネリセンス全開の異色作が、この620だ。

「トラックは使い倒した味こそがCOOL」を信条とするオーナーが、サフェ吹きで転がしていたオンボロ620を、長野県の気鋭ビルダー「オアシス」に4インチチョップを依頼したのが、2003年のこと。チョップの匠の手ほどきを受けた荻原ビルダー渾身の力作キャビンを手に入れたことでバリッと仕上げる気と思いきや、「コレが一番カッコいいべ!」とばかりにツヤ消しブラックの即席塗装のラフな姿のまま数年間乗り倒されることに……。結果、カスタムの進化よりボディのサビ具合が進行するにいたった620。が、その天然の枯れ具合こそ、ワビサビ好き全開のフィニッシュへと駆り立てたも事実だ。

そんなヤレボディを生かした色気の切り札こそが、天然サビボディを全体のエイジングペイント+ハズシの小ワザでラットロッドトラッキンに豹変させたこの姿。前衛的なチョップドフォルムをあえて高めの車高とホワイトウォールのバイアスタイヤで50’sオールディーズな方向性でバタ臭い不良ムードを生かした型破りアプローチは、USカスタムを広い目線で捉えた乗り手とペインターの意気投合が生んだ巧妙センスのタマモノ。町を流す姿も微笑ましく絵になる牧歌的なダサかっこよさは、安易なマネごとは単に“ダサい”に終わるのでご注意を!

写真11点>>4インチチョップの620ダットラの全貌!



>>620のチョップトップ作品は日本でも古くから存在したが、Aピラーを寝かせた独自の手法で秀作を輩出した匠が千葉の「アートオブワーク」で、2002年には620を題材としたチョップトップ講座も開催。その受講者であったOASIS荻原氏が、アートオブワーク鈴木師匠から学んだ4インチチョップの手法を再現した作品こそが、今この620なのだ。



>>小ぶりな右側に対し、低いルーフのスタイリッシュさを見事ブチ壊すダンボの耳ばりのバン&トラックミラーを左側にあえてセット。どちらもジャンク品のリサイクルで、ボディのフンイキに合わせてもともとヤレていたのをエイジングペイントでさらにワビサビ感を強調している。



>>ステッカーベタ張りのダッシュ回りが、脱力なストリートユースを主張。唯一気張った昭和キャバレー風のボタン留めシートはファスター純正品の張り替えで、LOCAL CRUISERS行きつけの上山田にあるオバちゃん経営のスナックのソファーをモチーフにしたそうな(笑)。


>>唯一の新品パーツが実はタイヤで、50’sのホワイトウォールを再現したUSファイアストーンの5.60-15。ラリーホイール風のリム幅の広い鉄チンは、三菱フォルテ純正の4WD用に2WD純正ハブキャップをセット。


>>レンズ類はUS純正のうえ、往年のトラッキンで人気だったチューブグリルの当時物を角4ライト化で備える。バンパー下のエプロンはSURF LINEオリジナルのFRP製で、金属が程よくサビた風合いをペイントで見事表現した。


>>自家塗装でサフェからマットブラックに色替えしたチョップの洗礼間もない2004トラックマスターズFINALでの1枚。BAJAのハミタイ履きで70’s〜80’sアメリカ風の片田舎の不良ノリを意識した。


カスタムCAR2013年4月号掲載
BASE CAR:ダットサントラック620 1979年型
SOURCE:OASISHOT ART AIR GRAPHIX

PHOTO/谷井 功

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