【オレたちのHEROマシン!】首都高を駆ける2台のレジェンド。“超悪魔のZ”と“闇の怪鳥”

物語を語る上で外せないのが、初期型S30Zとポルシェ911。憎み、惹かれ合う不思議な魅力を持つ2台に魅せられ、オマージュしたマシンによって夢の共演が実現する。

       
首都高を舞台にした「湾岸ミッドナイト」。主人公の朝倉アキオが駆る「悪魔のZ」と、最大のライバルである島達也が乗る「ブラックバード」。そして彼らを取り巻く走り屋仲間たちが、命を掛けた公道バトルを繰り広げた。

そんな「湾岸ミッドナイト」の世界感を彷彿とさせる2台が、ここで紹介するS30Z&ポルシェ911である。深夜の高速を走り抜ける光景は、まさに漫画の世界から飛びだして来たかのようなリアル感。

実は30Zの搭載エンジンがRB26だったり、ポルシェ911は自然吸気だったりと、まったくのレプリカではない。しかし、もっと注目すべき漫画との共通項目がある。それはオーナーが自分の人生を掛けるほどの情熱を注ぎ込んだ、究極のチューンドマシンであること! しかも、アキオと達也と同じように、このS30Zオーナーとポルシェ911乗りのオーナーは運命的な出会いを果たしている。

同じイベントに参加しことをきっかけに、交流を持ち始めたふたり。実は後になって同じ学校(しかも学年はひとつ違い!)に通っていたことが判明。これはなにかの因縁か、はたまた宿命か──。な〜んて大げさかもしれないけど、それ以来イベントにコラボ参加するなど親交を深めてきたそうだ。

そんなふたりの愛機は、前述した通り、かなり気合の入った作り込み! 湾岸ミッドナイトの実車版を見てS30Zの魅力にハマり、自力でRB26をスワップ。そのために2柱リフト完備のマイガレージを建てたというから恐れ入る。ちなみに、ハイカムで武装したRB26型ユニットの最高出力は約400ps! フルデュアルのサイド出しマフラーもやる気が十分だ。

そしてマットブラックボディで魅せるポルシェ911の方も、これに負けじと過激に作り込んだ。なにせフロントカウルをはじめ、ドアやフェンダーなどをフルカーボン化。車重を約200kg絞り込み、戦闘力を高めている。いずれのマシンも甲乙付けがたい仕上がりだ。

【写真12点>>首都高を駆け抜ける2台のレジェンドのすべてを確認!】


>>物語を語る上で外せないのが、初期型S30Zとポルシェ911。憎み、惹かれ合う不思議な魅力を持つ2台に魅せられ、オマージュしたマシンによって夢の共演が実現する。


>>「湾岸ミッドナイト」の再来ともいえそうなこのS30Zとポルシェ。湾岸線でバトルを繰り広げる姿を見てみたいと思う読者も決して少なくはないはずだ。


>>本家“悪魔のZ”には、L2.8型改3.1リットルのTD06ツインターボを搭載しているが、このS30Zの心臓部には、日産最強の直6ユニット名高いRB26型をパワーソースに選んだ。「実はS30Zに、RB26型を積み込むのが20年来の夢でした。実写版に出てくる魔王RとS30Zをコラボさせたかったんです」とはオーナー。エンジンはハイカムが入ったくらいのライトな仕様ながら、車重の軽さもあって暴力的な加速力を披露する。


>>島達也の愛機はKKKタービン仕様の911ターボだったが、こちらはNАのカレラベース。パワー不足を補うべく、カーボンボディ化に着手し、徹底した軽量化を実施している。なかでも圧巻なのがフロントカウル。なにせフェンダーやボンネット、ライトまわりを一体化しているのだ。


>>ボディカラーはアキオのZとおなじミッドナイトブルー。そのアクセントとして入れられた赤いストライプの上にはワンオフのステンシルプレートを貼り込んだ。実はボンネットやドアはカーボン製に交換されていたりする。


>>リアにエンジンを積み込むポルシェ911の弱点ともいえるのがフロントの接地感の薄さ。それを補うべくダブルカナードを装備。こちらは3DタイプのGTウイングをカットして流用したとか。またビジュアルにもこだわりガルウイング化も実施している。


>>オバフェン内に収まるのは、旧車乗りの王道ホイールともいえるRSワタナベ。フロント9J OUT13、リア11J OUT38と攻めたサイズなうえに切削リム仕様となっており、並々ならぬワイド感を演出する。


>>カーボンフェンダーは、ターボ用フェンダーよりもさらに片側10cmほどワイド。フェンダーやドアなどは、あえてリベット留めとしてスパルタンに仕上げた。ホイールはウェッズスポーツTC105Nで、サイズはF:17×9J IN10、R:10.5J IN12をチョイス。


>>ロールケージが組み込まれたコクピットには、真っ赤なブリッドのバケットシートが鎮座。400psに達するエンジンパワーを伝えるべく、ミッションはR32タイプMの71Cをコンバートした。


>>車内の軽量化も徹底しており、フロントウインドー以外はすべてアクリルガラス化。ロールバーを組み込んだ車内に設置されたシートは、レカロ製フルバケットシートの本革&カーボンレザー仕様(運転席側)を奢る。


>>公道ヒルクライムレースに挑戦するこのポルシェ。高速コーナーで横滑りが止まらず……といった苦い経験から、ウイングを3枚タイプに変更。路面に吸い付くような強力なダウンフォースを獲得している。


>>リスペクトと大胆モディファイ。飽くなき挑戦を続ける2台はレーシングムードを全身にまとい、首都高の伝説を生む究極ボディを手にしている。


『カスタムCAR』2018年5月号掲載
BASE CAR:フェアレディZ 1975年型/ポルシェ911・カレラ 1989年型
SOURCE:Studio ALLICAユウキテック

PHOTO/南井浩孝 TEXT/石川大輔

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