弘宝丸 伝説的名車の魅力を継承する国宝級デコトラ

獰猛な「虎」を正面から描いたリア観音扉のペイントは、大胆な構図と雄渾な筆致が光る力作。ウロコステンレス素材のリアバンパーには3発の丸テールを収めている。

       


「パーマネント」のコールで仲間から親しまれているオーナー。映画『トラック野郎』シリーズの出演車のオーナーとしても知られる氏が駆っているのが、平成7年式の4t車をベースにしたコチラの鮮魚便だ。 伝説的名店である長森ボディが手腕を振るった大型パーツと荷台(箱3面ペイント)を、先代の弘宝丸から流用したスタイルは’80年代からタイムスリップしたかのよう。なかでも躍動感あふれる「龍と虎」を描いた箱3面画は、「第2回カミオン大賞」でペイント賞を受賞した名作。迫力ある構図や独創的なタッチはもちろん、描いてから20年以上が経過しているにもかかわらず、剥がれや色落ちがほとんどないキープコンディションも見事。幾多の荒波を乗り越えてきた20世紀の遺産は、まさしく国宝級と呼ぶにふさわしい。

一方、前面に菱形アンドンを配したシートキャリアをはじめ、同じく菱形アンドンを組み合わせたハシゴ、前面スペースにマーカーを並べた薄型バイザー、表面を凹凸フォルムで仕上げたウロコステンレス素材のサイドバンパーなど、’80年代の弘宝丸を知るファンには懐かしい秀作パーツを全身に満載して、文句なしのオリジナリティをアピール。フロントバンパーは、先代の弘宝丸が付けていたデザインに似せてこしらえたものだという。

そのほか、コール名を刻んだバスマークや、’00年公開の映画『痴漢トラック 淫女乗りっぱなし』への出演時に装着したフロントスクリーンなど、ディテールにも遊び心あふれる見せ場が目白押し。

【写真6点】伝説的名店である長森ボディが手腕を振るった大型パーツ群。

カミオン2009年6月号トップアートをもとに再構成

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