奥州乃金太郎 関口工芸の箱3面ペイントで華やかさ満点のスタイルを完成させた三菱ふそうファイター

存在感ということではフロントバンパーにも注目。張り出し量十分なラッセル戻しタイプをチョイスし、アンドン面積を大きく取ることで重量感を軽減して、鋭角的なデザインによってシャープな印象を好演出している。

       



オーナーが目指したのはスーパーアートともレトロアートとも違う、アートトラックのゲームが登場したころのアート車だ。

関口工芸の作品が大好きというだけあって、ペイントやアンドンはすべて関口工芸製で統一。最大のみどころとなっている箱ペイントは運転席側が“龍”、助手席側が“歌舞伎絵”と、いかにも関口工芸らしいモチーフに対し、リアには“弁財天と富士山”という珍しい絵柄が採用されている。

3面ともに構図、色使い、タッチはみごとというほかない出来映えで、クルマ全体にアートトラックらしい華やかさをプラスする効果的な役割を果たしている。

パーツ類に目を移せば、’90年代後半のアートスタイルが好きというオーナーの好みが色濃く反映されている。トップパートには、角パイプを中心に構成されたシートキャリアとバイザーを採用。シャープで繊細な印象を与えるデザインは当時の流行を思い起こさせる。

さらにミラーステーは太さの異なる角パイプを5本組み合わせ、3D形状の造形とも相まって、存在感の大きいパーツになっている。

気象条件がなにかと厳しい秋田で活躍を続けてきたクルマだけに、箱ペイントの傷みが気になりだしたという。今後はペイントのリニューアルや、箱上のロケットを変更することにも取り組んでいきたいと意欲をのぞかせる。どのような変貌を遂げていくのか、大いに楽しみだ。

【写真7点】’90年代後半のアートスタイルが色濃く反映されている造形。

カミオン2008年2月号トップアートをもとに再構成

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