ベスト5 伊勢志摩の男一代魚や稼業! 天下御免の弘宝丸

思い入れのある文句を刻んだアンドンを限りあるシートキャリアにバランス良く収めた。上部のマーカーアーチもキマっている。

       


グリルのアンドンに刻まれているようにパーマネントさんの愛称でも知られる弘宝丸。「全国従断」「24時間営業」はダテじゃない。

弘宝丸のアートペイントは、読者投稿でベスト5に入るほど、フォーカスされている。それだけ日本中を走っているということだろう。

「この冬は、東京から青森、秋田方面を走ってました。2週間近く、三重の自宅に帰れないスケジュール。きついけど、オレたちは仕事をやってナンボだから、やっぱ働かなくちゃあかんよ。雪道は怖いけど、先日は、青森のトラッカーと4号線で競争して、オレのほうが青森の市場に先に着いたぜ。こんな映画のようなバカらしい競争をしたりするけど、トラッカーの誇り持っとるけんね」。

築地市場は駐車場が狭く、そして全国からトラックが集まるから、深夜11時に着いてもモタモタしてると荷を降ろせず、5時のセリに間に合わなくなることもある。そんな築地市場で、知らぬもものいない弘宝丸 。

「築地は慣れていないと大変だよ。以前、高速を下りてあと2kmで市場なのに、クルマがまったく動かない。5時をすぎると遅帯になる。そこで見本のハマチ1本かかえ30分、セリ市のとこにかけたこともあるよ。とくに鮮魚を運んでいると、時間との競争だから気を使う。もし、セリに間に合わないと3割は値が落ちる。すると当然、遅滞料もとられるから、油代、高速代もでなくなる」。

なんとも厳しい仕事のようだが、“男一代魚屋稼業”が好きで好きでたまらないのだろう。

弘宝丸は、映画、テレビなどにずいぶん登場。最近作では「メインテーマ」にもでている。

各所の写真はコチラから。

文:編集部 カミオン1985年4月号をもとに再構成

RECOMMENDED

RELATED