ベスト5 七転八起、全国区の人気車! 玉三郎丸

飾ってこそ"華"のトラック稼業はやめられぬ。あんなに飾って、採算は合うの? といった愚問を発するようじゃ、アートトラックの仲間入りはできぬ。彼らはとうに採算を度外視している。玉三郎丸のように仕事でほとんど使わない“趣味”のトラック、800万円かけた姫宝丸。平凡な人間からみると、ちょっと、理解できない。が、彼らは、そんな声にただ一言「好きだから飾るのさ」。登山家が、そこに山があるから登るのと同じさ。1985年4月号のベスト5はこうした口上ではじまった。




ご存じ、玉三郎丸だ。本誌では創刊号から登場を願って、フォトギャラリーで も、ナンバーワンの登場回数を誇る。が、ベスト5では、いままで取り上げなかったので、ここで登場願った。というのも近々、佐藤秀明さんの手を離れてしまうからだ。

1月号で、売りに出すという発言を載せたら、玉三郎丸ファンから編集部にたくさんの手紙をもらった。どれも「トラック野郎をやめてしまうんですか」、「売ったあとに新しいのを作るんですか」といった質問。その数約50通。いまさらながら、玉三郎丸人気にビックリ。そこで本人の口からその真相を語ってもらおう。


映画『トラック野郎』シリーズでもおなじみの筆致。ひと目見ただけでファンをワクワクさせた。リアバンパーは独創的なキャデラック形状。リングプレートをかぶせたスカGテールが独創性をさらに強調。

「この玉三郎丸は映画に登場して以来、 ペイントを描き直したり、新しいパーツを取り付けたり、オレのやりたい夢はほとんどやりつくした感じ。そこで、また新車から、二代目玉三郎丸を製作したくなったんだ。そこで、このアートトラックを大事に乗ってくれるトラッカーに売りに出したわけ。200件ぐらい問い合わせがあり、新しいオーナーは三重県の人に決まりました。 近々、受け渡しをする予定。やはり人手に渡すとなると、いろいろな感慨がわいてきます」。

玉三郎丸を手離しても、アートトラックからおりてしまうわけではない。ご安心を。今度、どんな二代目ができるかたのしみ。アッと驚くのを期待しよう。

文:編集部 カミオン1985年4月号をもとに再構成

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