250GTOレプリカ【1】ボロボロのS30Zに命を吹き込み、買い物からサーキットまで縦横無尽に走り回る!|1973年式 日産 フェアレディZ

フルFRPのレプリカボディは 本物さながらの美しいフォルムを再現

       
20年以上も不動車になっていたS30Zは、なんとフェラーリ250GTOのレプリカ仕様。廃車寸前のところを救ったのは、ひとりの女性オーナーだった。機関から内外装まで見事な再生を果たし、ついにサーキットデビューまで実現している。周囲からは本物と間違われるほどの完成度を誇るレプリカと、旧車を愛してやまないオーナーの蜜月物語をお送りする。

【1973年式 日産 フェアレディZ Vol.1】

 近年、世界中のオークションで注目を集め、最も高額で売買されるクルマといわれるフェラーリ250GTO。現存する台数はわずか36台という伝説のレーシングモデルは、何度となく自動車のオークション史上の最高額を塗り替えてきた。

 250GTO最大の魅力といえば、「動く芸術」とも表現されるデザイン。チューブラーフレームとアルミボディで形成された美しいフォルムは、今なおカーデザイン史に残る傑作として語り継がれている。

 そして、そうした名車の陰には、いつの時代もレプリカが存在するもの。250GTOも、世界中にさまざまなレプリカの製作例が散見される。その中で特にベース車としてよく使用されているのがS30Zだ。海外では一時期、S30Zを250GTO化するためのキットが製造・販売されていたようで、それだけ需要も旺盛だったことをうかがわせる。現在でも完成度が高い車両は、レプリカとはいえ、かなり高額で販売されているケースもあるほどだ。

 東京都在住のオーナーが所有するS30Zも、そんな非常に精度の高いFRP製レプリカボディで製作された1台。250GTOのレプリカを持つ女性オーナーという組み合わせだけでもかなり異色だが、オーナーはなんとそのS30Zでサーキットもガンガン走る強者なのである。

>>【画像19枚】RSワタナベのエイトスポークとアドバンA050の組み合わせなど。リム幅はフロントが9.0J、リアが10.0Jとなっている。車高調はテイン製のシェルをベースに北村鈑金でワンオフ製作



>> センター出しのメガホンテールはヤマハのバイク用を流用したもの。





>> 特徴的なフロントダクトの奥には、19段のオイルクーラーが設置されているのが見える。「壊さないことが基本」のサーキット仕様だけに、冷却にもこだわる。





>> フロントブレーキはFC3S RX-7の4ポットキャリパーを流用。ローター径はφ285mm。



1973年式 日産 フェアレディ Z (S30)


SPECIFICATION 諸元
エクステリア:FRP製250GTOレプリカキット、日産純正OPリアルーバー、フェラーリレッド全塗装
エンジン:L28型改
吸気系:ウエーバー45DCOE(ベンチュリー38)
排気系:タコ足&センターパイプ自作、ヤマハ製マフラー改
点火系:MDI、エビスビールコイル自作
冷却系:19段オイルクーラー
燃料系:ニスモ製電磁ポンプ
駆動系:強化クラッチ、クロモリ軽量フライホイール、FJ型用ミッション改、R200LSD(ファイナル4.1)
サスペンション:テイン製車高調自作、強化スプリング(前後10kg / mm)、ロワアーム延長加工
ブレーキ:FC3S用4ポットキャリパー流用、φ285mmベンチレーテッドディスク
インテリア:レカロ製SP-Gバケットシート、7点式ロールケージ自作
タイヤ:ヨコハマアドバンA050(F)215 / 50R15(R)225 / 50R15
ホイール:RSワタナベ(F)15×9.0J(R)15×10.0J




【2】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2018年11月号 vol.018
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1973年式 日産 フェアレディZ(全5記事)

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text:HIDEOKOBAYASHI/小林秀雄 photo:AKIOHIRANO/平野陽

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