未来への飛躍を求めたスタイルは過去と未来を行き来する翼を得る|1982年式 デロリアン DMC-12 Vol.1

象徴的なステンレススティールのボディパネルは、樹脂製のバンパーとの組み付けに問題のある個体では、バンパーが波打ってしまう悪癖を持つが、この個体は完璧だ。

       
【1982年式 デロリアン DMC-12 Vol.1】

 世界的大ヒットを博した映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズでタイムマシンとして出演したことから、現在ではハチマル時代のシンボルともなっているデロリアン。その波乱万丈のストーリーは、ある悲運の経営者の夢からスタートした。かつてGM本社でポンティアック部門担当の副社長まで上り詰め、「元祖マッスルカー」とも呼ばれている傑作車、ポンティアックGTOを生み出したことでも知られるジョン・ザッカリー・デロリアンが、自身の理想のクルマを作るためにGMを辞職。1975年10月、デロリアン・モーター・カンパニー(DMC)を起こしたのだ。

 アメリカの「モータウン」ミシガン州デトロイトに本社を構えたデロリアンだが、彼が創ろうとしたのはそれまでビッグ3が生産してきた恐竜のごときアメリカ車たちとは一線を画した本格的GTカー。そこで優秀なエンジニアリング部門を持ち、スポーツカーでも確固たる実績を挙げている英国・ロータス社に開発を依頼した。

▶▶▶【画像12枚】映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のタイムマシン として、世界的な人気を誇るデロリアンDMC-12のフォルムなど



テールの意匠も、いかにもハチマル時代の高級GT的である。





数奇な運命に抗うがごとく、過去と未来を跳躍する時代の象徴。



1982年式 デロリアン DMC-12
Specification 諸元
●全長×全幅×全高(mm) 4267×1990×1140
●ホイールベース(mm) 2408
●トレッド前/後(mm) 1590/1588
●車両重量(kg) 1233
●エンジン種類 ライトアロイ90度V型6気筒SOHCチェーン駆動
●エンジン型式 PRV ZMJ-159型
●総排気量(cc) 2849
●ボア×ストローク(mm) 91×73
●圧縮比 8.8:1
●最高出力(ps/rpm) 135/5500
●最大トルク(kg-m/rpm) 22.45/2750
●変速機 5速MT
●ステアリング形式 ラック&ピニオン
●サスペンション前 不等長ダブルウィッシュボーン
●サスペンション後 トレーリングラジアスアーム アッパー&ロアリンク
●発売当時価格 2万5000ドル

【2】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2014年 08月号 vol.26(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1982年式 デロリアン DMC-12(全3記事)

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text : HIROMI TAKEDA/武田公実 Photo : DAIJIRO KORI/郡 大二郎

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