思い出の地 長崎の旅 〈後編〉|スバル360で素敵探検 大貴 誠のレディーバードの旅 第2回

今回の長崎旅では「思い出のコーヒーぜんざい再び」が一大テーマ。そのコーヒーぜんざいの店は一体どこなのだ。長崎の街をスバル360で大捜査することに。

スバル360に乗って素敵を見つけにいく旅。最初の訪問地は長崎への18年ぶりの再訪。思い出の地を訪ねてスバル360を走らせ、新しい発見もいっぱいして、残るは「思い出のコーヒーぜんざいを食べる!」。しかし店の名前は忘れてるわ、場所はうろ覚えだわ、宝探し状態。しかし記憶を頼りに行ったその場所で、思わぬ事実が!



 大貴誠に長崎の思い出を聞くと「チンチン電車の喫茶店で食べたオムライス、神社のそばのお店の甘いゴマ豆腐、ギョーザを食べて帰るタクシーの中のニンニクの香り、マダムの集まるサロンのコーヒーぜんざい」と、後から後から食べ物の思い出がわき出てくる。しかし記憶のディテールはえらく細かいのに、肝心なことはきれいさっぱり忘れてるというのがまた大貴誠らしい。

人物 大貴誠
大貴 誠(だいき・まこと)  OSK日本歌劇団・元男役トップスター。ノスヒロをむさぼり読んでい
た日本で唯一の歌劇スター。2010年夏、念願のスバル360を入手。このクルマと一緒に日本中を旅す
る。2019年の現在も継続中。



人物 大貴誠スバル360 外観
チンチン電車の洋食屋という記憶だけで、あてもなく長崎の街をさまよい歩いてもちゃんと見つかっ
たのは日頃の行いがいいからです。『きっちんせいじ』はご覧の通り、入口がチンチン電車、そして
お目当てのオムライス。もちろん、おいしかったです。



 今回の長崎旅では「思い出のコーヒーぜんざい再び」が一大テーマになってたのだが、そのコーヒーぜんざいの店は一体どこなのだ。「アーケードにあったタマヤデパートの2階で、窓からアーケードを歩いてる人を見下ろして食べた」と熱っぽく語るから調べてみると、玉屋デパートというのがあるが、記憶とはカケ離れた場所にあり、アーケードにあるのは浜屋百貨店だった。ま、その程度の思い違いはよくある。思案橋のそばにあるパーキングにスバル360を入れて、浜屋百貨店に繰り出す。しかしアーケードに仁王立ちして浜屋を一瞥。「ここじゃない!」。浜屋のそばに大丸があって「こっちかも! あの2階の喫茶店!」。平日なのになぜかお客でごった返す店内をかきわけるように2階に上り、その喫茶店に突進。コーヒーぜんざいはない。「それにこんな狭くなかった」ただちにウエートレスさんを直撃。「10年ぐらい前コーヒーぜんざいやってました? お店の広さ変わりました? もっと広かったですよね?」ウエートレスさんもいきなりそんなこと聞かれても困るが、笑顔で「ちょっとわからないです」。まあ当然か。


 いったん撤退。アーケードをひと通り歩き回り、やっぱりここだ、と大丸に逆戻り。ごった返している店内はお年を召したご婦人がたくさんで、皆さんオシャレで元気良さそうなのがやたら目につく。「長崎のご婦人は元気でおしゃれ! この人たちがいれば長崎も大丈夫!」と喜ぶ大貴誠。いや、たぶんあなたもそれ以上に元気でおしゃれなおばあちゃまになると思います。正面入口に男性社員さんが立っているので突撃すると、なんと大丸長崎店、閉店セールの真っ最中だった。それでこの混雑か。ひるまず聞く。「10年ぐらい前、こちらにコーヒーぜんざいのお店ありませんでしたか?」。いきなり聞かれてたじろぐ男性社員氏。「ええと地元長崎の者を呼びますので」と別の男性社員氏を連れてくる。「ありました」「やっぱり!」「数年前に閉店したんです」「あの2階のお店ですよね?」「いや4階です」。いちいち記憶と全然違う。その4階の跡地に行ってみたが、アーケードなど見下ろす場所はなく、うーん、ここだったかなあ~と首をかしげる。でもおしゃれでパワフルなご婦人たちにまみれて、元気を充填できたからよしとする。


人物 大貴誠
スイーツ コーヒーぜんざい
うまぁ~い! ついにめぐりあったコーヒーぜんざい。大丸福岡天神店の『和雅家』という甘味茶寮で
す。これを食べるために、横浜~長崎~福岡の旅を敢行したというのに、実は支店がいっぱいあって、
近いところでは名古屋でも食べられると判明。いや、そこに至るまでの道程が大切なのだからこれで
いいのだ!


 そして親切な男性社員氏からは耳寄りな情報がもたらされた。「大丸の博多店にはコーヒーぜんざいのお店はまだあります」。大貴誠は直ちに、帰りは博多に寄ってく! と決めた。長崎の仇を博多で討つ。決めて宿に帰ると、レディーバード天敵の雨はやみ、目の前に虹がかかっていた。長崎ですべての仕事を終えた最後の夕方に、まるで出来すぎのような虹。大貴誠の前途を祝福するかのように。祝福といったって、とんでもなく遠回りして、コーヒーぜんざいを食べに行くだけなのだが……。でもスバル360に乗っていくから、何もかも楽しくてしょうがないのだ。




洗車 大貴誠
メンテナンス 大貴誠
人物 大貴誠



大貴誠 友人たち
フェリーが徳島に途中寄港して一時間ぐらい下船もできることに気づいた大貴誠、旧友が徳島に何人
も住んでいることを思い出し、港まで迎えに来てもらうことに。少しの時間もムダにしない、旅をす
るなら全力で楽しみまくるのです。


人物 大貴誠 加藤オート販売
東京到着。自宅に向かうかと思いきや「加藤さんのとこに寄っていこう!」と、いきなり行き先変更
で、東京・清瀬のカトーモータースに進路を取る。旅の報告をして、ちょっとギアの具合を見てもら
って、不調なし! スバル360ますます快調、疲れを知らない大貴誠なのでありました。



掲載:ノスタルジックヒーロー2011年10月号 Vol.147(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Rueka Aoki/青木るえか photo:Rumi Matsushita/松下るみ

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