「大事にしてくれそうだから、ぜひ乗ってほしい」｜1981年式 セドリック 4ドア ハードトップ 280Eブロアム　Vol.3

フラッグシップカー280Eブロアム、手元へ

【1981年式 セドリック 4ドア ハードトップ 280Eブロアム　Vol.3】

【2】から続く

　このように、最先端のメカニズムとサルーンならではのスタイリングを備えた430であるが、ライバルのS110系クラウンは異なった路線でアプローチしてきた。基本的なデザインは430と同じ直線基調ながらも、各部に押し出しの強い造形を取り入れ、高級車ならではの派手さや圧倒的な力強さを表現してきたのだ。またメカニズムにおいても、430に続いてS110系クラウンも2Lエンジンにターボを搭載したが、後のマイナーチェンジでは2.8Lをツインカム化して対抗。このように、とかく比較されがちなセド・グロとクラウンだが、双方が競い合うことでいっそう素晴らしいものが生み出される。それは、その後の両車の進化を見れば、容易に察しが付く。

　なお、ここで登場するのはフラッグシップとなる280Eブロアム。大型グリルやワイヤースポーク風のホイールキャップ、そして2.8Lならではのビッグバンパーにより、国産最高級サルーンの最先端を体現。多くの人が憧れた1台といえるだろう。

OWNER’S VOICE／自身3台目の430は、極上コンディションを保持

　オーナーは、ケンメリも所有するハチマル車&旧車ファン。それだけに430も新車購入のGLからターボブロアムへ乗り継ぎ、今回取材した個体で3台目だという。ただしこの280Eブロアムは、当初は手もとにくる予定のなかったクルマ。というのも、ターボブロアムを所有していた能登さんのもとに知人から「大事にしてくれそうだから、ぜひ乗ってほしい」という話を持ちかけられたことがきっかけだったという。はじめは断っていたが、あまりの熱心さに強い感銘を受けて譲り受けることに。そして、27年間をともにし、思い出が詰まったターボブロアムを保管しつつ、譲り受けた280Eブロアムを大事に乗ろうと決意した。

　こうした経緯で手もとにやってきたこの車両だが、走行距離は少なく、各部のサビもない極上の個体。そこでターボブロアムから移植できるパーツは移植し、今では各地のイベントに出向いているという。また、走行距離が少ないこともあり、機関系のトラブルもなし。ただし、降雪地域ゆえサビにはとくに注意をはらっているとか。前オーナーの心意気に応えるためにも、末永く乗り続けてほしいものだ。


「ECCS」が採用され、燃費や実用性、メンテナンス性が向上したL28E型エンジンなど【写真18枚】





ウッド調のパネルを採用し、高級感と上質感が漂うインパネ周辺。前期と後期では、ステアリングやサブメーターの形状が異なる。





走行時間やガソリンの消費量、平均車速のほか電卓機能なども備えるドライブコンピューター。オプションで設定されていた装備だ。





助手席シートバックが後方に倒れ、リアシートの乗員が足を伸ばすことができるリラックスシート。後期から採用された装備だ。


1981年式 セドリック 4ドア ハードトップ 280Eブロアム
SPECIFICATIONS　諸元
セドリック 4ドアハードトップ 280Eブロアム(430)
全長×全幅×全高(mm) 4885×1715×1410
ホイールベース(mm)　 2690
トレッド前/後(mm) 1415/1380
車両重量(kg) 1500
エンジン型式z L28E型
エンジン種類 直列6気筒SOHC
総排気量(cc) 2753
ボア×ストローク(mm) 86.0×79.0
圧縮比 8.8:1
最高出力(ps/rpm) 155/5200
最大トルク(kg-m/rpm) 23.5/4000
変速比 1速 2.458/2速 1458/3速 1.000/ 後退 2.182
最終減速比 4.111
ステアリング形式 バリアブルレシオ式ボールナット
サスペンション前/後 ダブルウイッシュボーン/5リンク
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ 185SR14(前後とも)
発売当時価格 299.4万円


初出：ノスタルジックヒーロー 2015年 02月 Vol.167 （記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです）


1981年式 セドリック 4ドア ハードトップ 280Eブロアム（全3記事）


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