キャブはSUキャブ! SS KUBOの手が入ったノーマル然としたエンジンルーム|1970年式 ダットサン 240Z スポーツ Vol.2

ボディカラーは一流のウデを持つ塗装屋で塗り直しており、カラーコードは米国コード901の「Light Gray Poly」だ。

       
【1970年式 ダットサン 240Z スポーツ Vol.2】

Vol.【1】から続く

 なかでもエンジンはL型チューンの大御所、「SS KUBO」による秘密のチューニングが施されている。ベースとなっているエンジンはL24型で、ヨーロッパ仕様のカムを加工して組み込み、ピストン、コンロッド、クランクにも手を入れた。だが、ベースに使われたブロックに秘密が隠されている。

 福地さんのZに搭載されたL24型は、量産タイプのブロックではなく、L28型の先行試作用として製作されたもので、ボアをφ89mmまで上げられる特殊なブロックが使われている。しかも、見た目は量産タイプのL24型と同じという希少性の高いブロックだ。


ブロックにはL24型を示す「P30」の刻印があるが、肉厚などが異なる。しかしノーマルのような見えるL24型エンジンなど【写真26枚】



 組み合わせるキャブにも福地さんのこだわりがある。L型チューンの定番であるソレックスではなく、あえてSUキャブを装着している。というのも、このZは、「スマートに乗る」というコンセプトで仕上げられている。そのため、エンジンルームといえども、「いかにも」という作りではなく、純正のように見えるほうが「らしい」のだ。

 装着したSUキャブは、輸出仕様の最大口径のタイプ。しかも、装着にあたってはベストな性能を求めた。そこで重要になってくるのが、SUキャブの特性を生かすための燃圧設定だ。いくつもの燃料ポンプを試した結果、理想の燃圧となるダットサントラック620用に決定となった。ただし、燃圧はレギュレターで調整すれば解決する問題だが、そこは「シンプルに」という福地さんのこだわりがある。

Vol.【3】に続く

1970年式 ダットサン 240Z スポーツ(S30)
SPECIFICATIONS 主要諸元
■エクステリア:901 Light Gray Poly(モンテカルロシルバー)/EU仕様フロントスポイラー/リアスポイラー(日本仕様)/HID & LED等バルブ交換
■エンジン:L24型改ショートストローク仕様(L28型試作ブロック)フルチューン(圧縮比12.0:1)/SS KUBOオリジナル72度カム、ビッグバルブ、強化バルブスプリング/亀有製φ89mm鍛造ピストン/L24型用コンロッド加工、クランク加工
■点火系:WAKO CDIキット(CD-1200)/赤外線デスビ/強化オルタネーター
■吸排気系:輸出用SUキャブ(テクニカルトートにてフルOH)/ワンオフ手曲げタコ足、手曲げ軽量フルデュアルマフラー
■冷却系:SS KUBO 3層ラジエーター(コア増し)/アールズオイルクーラー/純正レース用オイルブラケット
■駆動系:OS技研製スーパーシングルクラッチ/71B5速(日本仕様240ZG用)/R180ニスモLSD(ファイナル3.700)
■サスペンション:ビルズ製40段調整式ショック/アイバッハスプリング加工/スプリングシート(ピロ加工)、ショート加工ナックルアーム、強化ブッシュ&ステアリングダンパー
■ブレーキ:MK63キャリパー& SS KUBOブレーキパッド+SS KUBOベンチレーテッドディスク
■インテリア:モトリタ ダットサン用ステアリング
■タイヤ:ヨコハマ・アドバンスポーツV105 205/55R16 91W MO
■ホイール:パナスポーツレーシングG7-C8S 16×7J(特注)
■その他:ZAXIAバッテリー


初出:Nostalgic SPEED 2015年07月 Vol.007 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


1970年式 ダットサン 240Z スポーツ(全3記事)

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text:MASAYUKI FUKADA/深田昌之 photo : RYOTA SATO/佐藤亮太

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