「スバルクッション」と呼ばれた独特の走行フィーリング|読者が選ぶ国産旧車人気ランキング2014【軽乗用車部門 1位】1967年式 スバル 360  Vol.2

「経済的でトラブルがないことがこのクルマの魅力ですね」とオーナー。

       
【1967年式 スバル 360  Vol.2 】

読者が選ぶ国産旧車人気ランキング 軽乗用車部門 1位

 こうして世に送り出されたスバル360は、42万5000円というプライスを武器に、国民の自家用車として瞬く間に大ヒット。愛嬌たっぷりのスタイリングから「てんとう虫」の愛称で親しまれ、大人4人が乗車可能な室内空間や、「スバルクッション」と呼ばれた独特の走行フィーリングが高い評価を得た。また、デビュー翌年には巻き取り式キャンバストップを装備するコンバーチブルと、商用のコマーシャルを追加。その後もスポーティーモデルのヤングS/ヤングSSをラインナップし、バリエーションを増やしていった。そして、1970年の生産終了まで大きなモデルチェンジを行うことなく、12年間にわたって造り続けられたのである。

 とはいっても、12年もの間まったく同じスバル360を作ってきたわけではない。より完成度の高いクルマを目指して内外装はもちろん、エンジンやサスペンションなどの変更が幾度となく繰り返され、年を経るごとに熟成度を高めていったのだ。これは、ユーザーの声に耳を傾けながら細部の改良を繰り返した結果で、最終的には1500カ所にも及ぶ改良が行われたという。そして、時代を超えた基本設計の高さがあったからこそ、長きにわたって愛されてきたことは言うまでもない。

 このようにして、黎明期の日本のモータリゼーションの発展に貢献してきたスバル360。庶民のマイカーへの夢を現実のものにし、「自動車を持つ喜び」をもたらした本当の「国民車」と言えるのではないだろうか。

運転席側にスピードメーター、助手席側にラジオが配置されたシンプルなインパネなど【写真8枚】

この360で北海道旅行これが今後の目標です。



OWNER’S VOICE/嶋田和則さん

 この個体が自身2台目のスバル360という嶋田和則さん。というのも、35年ほど前にそれまで所有していたスバル360を修理しようと考えていたところ、友人からコンディションの良い個体があるという情報をキャッチ。修理をせずに、思い切って乗り換えを決意したそうだ。

 このような経緯で乗り換えた現在の愛車は、未再生ながらコンディションは上々で、機関系のトラブルも皆無。そして、時間があればドライブやイベントにも出向き、これまでにたくさんの思い出を作ってきたという。

 ちなみに「経済的でトラブルがないことがこのクルマの魅力ですね」とオーナー。次の目標に向かって、スバル360と歩み続けてほしい。

1967年式 スバル 360 スーパーデラックス・オーバートップ付き(K111)主要諸元
●販売期間 1958年5月~1970年5月

●全長 2996mm
●全幅 1300mm
●全高 1360mm
●ホイールベース 1800mm
●トレッド前/後 1140/1060mm
●最低地上高 170mm
●車両重量 415kg
●乗車定員 4名
●最高速度 105km/h
●登坂能力sinθ 0.30
●最小回転半径 4.0m
●エンジン型式 EK32型
●エンジン種類 強制空冷2サイクル直列2気筒
●総排気量 356cc
●ボア×ストローク 61.5×60.0mm
●圧縮比 6.5:1
●最高出力 20ps/5000rpm
●最大トルク 3.2kg-m/3000rpm
●変速比 1速3.130/2速1.601/3速1.000/OT 0.806/後退4.248
●燃料タンク容量 25L
●ステアリング形式 ラック&ピニオン
●サスペンション前/後 トレーリングアーム方式独立懸架/スイングアーム方式独立懸架
●ブレーキ前/後 2リーディング/リーディングトレーリング
●タイヤ前後とも 4.80-10 2PR
●発売当時価格 39万円

初出:ノスタルジックヒーロー 2014年4月号 Vol.162(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1967年式 スバル 360(全2記事)

2014 読者が選ぶ国産旧車人気ランキング

スバル360 記事一覧

Rino Creative/リノクリエイティブ photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

RECOMMENDED

RELATED

RANKING