派手なシーンが少なかったGⅠ。使用する機会がなかった亜酸化窒素ブースター【ゴリラ・警視庁捜査第8班 1-2】三菱 ギャラン 2000 DOHC ターボ VR-4

アタッシュケースとして持ち出し可能な「デタッチャブルグローブBOX」。なかにはスミス&ウェッソンの拳銃とアーミーナイフが収まっている。

【1-1】から続く

特殊車両コードネームGⅠ(VR-4)。渡哲也が演じる倉本省の専用車である。VR-4は劇中で使われた車両だけでなく走行性能も秀でており、1989年の1000湖ラリーで優勝した車両でもある。

【ゴリラ・警視庁捜査第8班 1-2 三菱 ギャラン 2000 DOHC ターボ VR-4】

 GⅠはG8の特殊車両のなかで最高の運動性能を備えていただけではない。特殊システム・装備は衛星を利用した秘話通信システムやナビシステム、敵・味方を識別する早期警戒システムなど、基本的なものを網羅。そのほかにGⅠ特有の特殊装備となるのが、亜酸化窒素ブースターだ。これは燃料タンクとは別に搭載されたボンベから亜酸化窒素をエンジン内に噴射することで、エンジン出力を爆発的に向上させる機能。だが、この機能がベールを脱ぐことは最後までなかった。
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 また、GⅠは、GⅡやGⅢ、GⅣと比べて、登場シーンが極端に少ない。それは、第7話「キッドナップ・カンパニー」の終盤で、倉本が銃弾を足に受けて負傷したことで、以降はG8の基地である「トーキョー・ヒルサイド・ハウス」で伊達や風間、谷川に指示を出す司令塔の役割が増えたためだ。これはストーリー上の設定だが、渡哲也自身が第5話の撮影中にケガ・負傷したための措置でもあったようだ。実際、この回以降、倉本のアクション、戦闘シーンは格段に減り、ヘリコプターからの狙撃や中距離からの発砲がメインに。第1話「ポリス・アドベンチャー」で見せた肉弾戦は皆無となった。

 カーチェイスのシーンも少なく、あまり登場回数が多くないGⅠ。だが、シリーズ終盤に倉本と妻の関係がストーリーに組み込まれたことで、テレビ画面に映る機会が増えた。とくに派手なシーンはないのだが、このコンビが登場するとなぜかうれしい。ただ、やはり4WDターボの実力を遺憾なく発揮したカーアクションも見たかった。
【画像21枚】覆面パトカーの必需品である無線アンテナ。これはごく一般的なものを使用している。反転式警光灯(パトランプ)は電動で作動する。ルーフの「フタ」は本来、ルーフにつくまで開くが、固着して開ききらなかった



>>三菱の名機と誉れ高い4G63型の直列4気筒DOHC。VR-4へ搭載するにあたって4バルブ化された。ベース車の最高出力は205psから中期で220psまで高められた。



>>基本的にベース車のまま使用されているインパネ。本革ステアリングもノーマルのままだ。



>>センターコンソールに並ぶメーンコンピューター。中央は地図などを表示する4インチのブラウン管カラーディスプレイ。下は警察、緊急、航空機、船舶無線などを受信できる特殊無線。そのほか多くのスイッチが並ぶが、劇中でも使用されることがなく、用途は不明。
【1】から続く

三菱 ギャラン 2000 DOHC ターボ VR-4(全2話)
初出:ハチマルヒーロー 2017年9月号 Vol.43

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
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TEXT:Rino Creative/リノクリエイティブ PHOTO:MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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