進化する「頭文字」レプリカ 最終回【2】サザエさんの磯野波平役の茶風林さんに「まるで新車のようだね~」とあの声で

吸気音、S/Cのコンプレッサーが奏でるメカニカル音、そしてエキゾーストノートの三重奏は官能的。クリーナーボックスのフィルターからの雨の侵入はデリケートに取り扱うことが必要になる。電動パワステも日常の取り回しのよさに貢献している。

【1】から続く

秋山仕様のレビンを納車して2ヶ月。走行距離は3000kmに迫る。初回のオイル交換の時期を迎えるト同時に、ハチマル車には厳しいシーズンに突入する。

【進化する「頭文字D」レプリカ 最終回 vol.2】

 今後同等の品質のAE86を仕上げられるかどうかといえば、ベース車両の程度や4A‐GZE型ユニットの入手の困難さは作業を開始した時期からまた一層、ハードルが高くなっている昨今。国宝級といってもいい車両を、無法者の手に渡してはならない。

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 大型の駐車場では、奥まった人目につかないような場所を避けたりといった自衛も忘れない。余談だが、停めていたレビンを撮影されSNSに投稿されたことがあるそうで、それが巡り巡って本誌読者の目に留まり「それ、秋山仕様レビン」とタネ明かしされたことがあったんだとか。

 声優界にもクルマ好きは数多いようで、サザエさんの磯野波平役の茶風林さんもそのひとり。海外からクラシックカーを直接買いつけるほど愛している茶風林さん。そのこだわりは、現地の「香り」をそのまま楽しむために、ボディに付着した汚れや落ち葉を、一切落とすことなくそのまま日本へ持ってくるというこだわりの「研究者肌」。秋山仕様レビンを見せたところ、その輝きと香りに感動してくれ「まるで新車のようだね~」と、あの声で驚かれたんだとか。世代を超えたコミュニケーションにもひと役買っている。「ハイスクールフリート」という作品では五十六という猫の役をこなしている鶴岡さん。同作品のファンには当連載を楽しみにしている方も多いようで、なかには秋山仕様レビンと五十六をからめたかわいいイラストをプレゼントしてくれた方もいたそう。アニメファンにも人気のレビンなのだ。

 都心で走る姿は、イマドキのクルマがどんどんサイズアップしているなかに置かれると、その低さとコンパクトさが一層強調される。ということは取り回しがしやすいということでもあるが、ちょっとした悩みもあるという。

 まずはその低さ。全高も低いうえにローポジションのシートレールなので、対向車のライトがけっこうまぶしく感じるんだという。道路の高低差によってはまるでピンスポが当たっているような感じなんだとか。「仕事がら慣れてますけど……」と言いながら、それもまたうれしそうな鶴岡さん。

 さらに気づいたことは、給油口の位置の低さ。181cmと身長の高い鶴岡さんはセルフ給油の際、かなり腰を落とした姿勢にならざるをえない。そこはレビンのイメージダウンにならないよう、なるべく不格好に見えないよう気をつけている。

 すべてのパーツを外され、ホワイトボディから再生された秋山仕様レビン。今後のスケジュールとしては、カーランドへと里帰りし、各部のチェック&増し締めを行う時期も迎えている。

 梅雨の時期を迎えるにあたっては、吸気系の対策も考えている。エアクリーナーも秋山仕様を忠実に再現しているため、フィルターがむき出しの状態となっている。雨は大敵なのだ。小雨ならともかく、本降りになったら濡れないよう避難し、多めに濡れてしまったら乾かしてから乗るのも得知メソッドのひとつだ。
【画像11枚】リアガーニッシュには「カーランド」のデカールが誇らしげに位置する。あえての片仮名ロゴが新鮮だ。装着ホイールについては、より秋山仕様に近づけたオリジナル加工版もストックしているが、飛び石などによるキズを防ぐため日常はこちらのホイールを装着している



>>秋山仕様レビンのあゆみ|2016年10月
元の白黒2トーンから同色へリペイント完了。その仕上がりは新車といっても過言ではない眩しさを放っていた。スポイラー一体型のリアゲートや、原作に忠実なデザインのホイールなど、秋山仕様へのディテールアップのためのアイテムも続々発掘された。



>>秋山仕様レビンのあゆみ|2016年12月
垂直に2本のバーがレイアウトされるという、当時物のロールバーも探し出した。完璧な秋山仕様なら、S/C仕様ながらあえてのインタークーラーレスを選択するところだが、この頃は前置きで設置するかどうかまだ揺れていた時期。

【3】へ続く

進化する「頭文字D」レプリカ 最終回(全3記事)
初出:ハチマルヒーロー 2017年7月号 Vol.42

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

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TEXT:KIYOSHI HATAZAWA/畑澤清志 PHOTO:MAKOTO INOUE/井上誠

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