短命に終わった悲運のハッチバック【4】波乱万丈、時代にほんろうされたモデルライフ。その裏には、彗星のごとく現れた1台のクルマの存在もあった

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こうして少しずつ拡大していった5ドアハッチバックセダンは、市民権を得るかに思われたが、2度の逆風が吹く。まずは89年に彗星のごとく現れたスバルレガシィツーリングワゴンの存在だ。

それまでのワゴンとは違い、スタイリッシュかつスポーティーで高性能というレガシィは、瞬く間にスターダムの階段を駆け上がり、一躍トップアイドルへと成長。この新星の登場で、ワゴンの人気とステータスが一気に上がったのだ。もうひとつがバブルの崩壊。これが運命を決定付けた。好景気の波に乗っていたメーカーも、バブルの終えんにより車種整理やコストカットの道を選ばざるを得なかったのだ。

残念ながら5ドアハッチバックセダンのほとんどは一世代で姿を消してしまうこととなった。まさに波瀾万丈、時代にほんろうされたモデルライフとなったが、ある意味ではこの時代を映す鏡でもあるのだ。

【画像11枚】ほとんど一世代で姿を消してしまった5ドアハッチバックセダン。ある意味では、この時代を写す鏡でもあるのだ



MAZDA CAPELLA CG

87年に登場した5代目カペラ。その5ドアハッチバックセダンがカペラCG。CGはCity Gear(シティ・ギヤ)の略で、都会的なスタイリッシュさをアピール。カペラは4代目にも5ドアハッチバックセダンがラインナップされたが、カペラCGを最後に日本でそのスタイルは姿を消した(海外向けには以降も用意されている)。




MITSUBISHI GALANT SPORTS

このなかでは異色なギャランスポーツは7代目ギャランのシリーズ途中、94年に追加。レガシィツーリングワゴンをはじめとするワゴン人気に対抗するためにリリースされたもので、輸出用ギャラン5ドアハッチバックをベースに、ルーフレールやバンパーガードを装着し、RVテイストを出している。



>>日本では姿を消してしまった5ドアハッチバックセダンだが、ヨーロッパでは比較的メジャーな存在。上で紹介したプリメーラの2代目P11にも5ドアがあり、欧州生産のプリメーラUKとして日本で販売されていた。また、ドイツを代表するプレミアムメーカーの最新モデルにもラインナップされており、アウディのA5/A7スポーツバックや、BMWの3シリーズ/5シリーズGTがそれ。これらは日本国内でも販売されている。



【1】【2】【3】から続く


初出:ハチマルヒーロー2017年1月号 vol.39
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

短命に終わった悲運のハッチバック(全4記事)

TEXT : Rino Creative/リノクリエイティブ

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