現存確認2台の希少なパッションローズマイカ。そして走行わずか2万6000km|1994年式 ユーノスコスモ 20B Type-SX【2】

3ローター化によってさらに低振動になったことにプラスしてオルタネーターファンや電磁クラッチで機械騒音を少なくしたエアポンプの採用し、さらに静かになったエンジン

【1】から続く

バブル期にマツダは「マツダイノベーション」という経営計画をスターさせた。しかし結果としては失敗に終わった。その頃、マツダは海外向けブランド車を複数発売した。その中に、今回取り上げたユーノスコスモもあった。

【1994年式 ユーノスコスモ 20B Type-SX vol.2】

 コスモとしては8年ぶりのモデルチェンジとなったユーノスコスモは、今までのコスモとは一線を画すデザインで、この頃のマツダが行っていた意匠の方向性とマッチしたラインを持つ。内装も高級になりすぎず、ウッドパネルをあしらった落ち着いたものでありながら、当時としては珍しい人工衛星活用ナビ(タイプEのみ)やフルオートエアコンなどデザインと最新技術が自然なカタチでミックス。エンジンは20B型の3ローターのほか、13B型の2ローターが用意され、強力なツインターボを運転状況で使い分けるシーケンシャル型を採用し、使いやすさを追求している。

 ユーノスブランドの最高級車でありながら派手さを抑え、利便性をアップさせたユーノスコスモは、多くのマツダ車が不良在庫となって行く中で堅調に販売。20年が経過した今も多くのファンが存在する。

 ハチマルヒーローでは何度も取り上げ、このクルマの美しさを紹介してきたが、その中でもマツダの社員が博物館への寄贈を持ちかけるほど美しい状態を保つ個体が現存していた。わずか2万6000kmという走行距離だけでもトンでもないことだが、ボディカラーが希少なパッションローズマイカであることも驚き。販売台数はわずか十数台で、現在確認されているのはこのクルマを含めて2台だけとのこと。

【画像16枚】ユーノスコスモのトランクルームは意外に広い。これには時代背景があり、バブル期にゴルフが大流行し、複数のキャディバックを収納できるようにするために広かったという



>>低回転ではプライマリーのみを、高回転ではプライマリーとセカンダリーの両方を作動させ低回転から高回転までムラなくターボを発揮させるシーケンシャルツインターボ搭載の3ローター20B-REW型エンジン。



>>ヒューズボックス内部のヒューズ一を示すシールが新品同様の状態。どんなにキレイなクルマでもこのシールは写真のような状態であり続けることは難しい。このクルマの驚異の一つだ。


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>>3ローター化によってさらに低振動になったことにプラスしてオルタネーターファンや電磁クラッチで機械騒音を少なくしたエアポンプを採用し、さらに静かになったエンジン。


1994年式 ユーノスコスモ 20B Type-SX(JCESE)

全長×全幅×全高(mm) 4815×1795×1305
ホイールベース(mm) 2750
トレッド(mm) 1520/1510(前/後)
車両重量(kg) 1590
エンジン型式 20B-REW型
エンジン種類 3ローターロータリ―ターボ
総排気量(cc) 654×3
最高出力(ps/rpm) 280/6500
最大トルク(kg-m/rpm) 41.0/3000
サスペンション 前ダブルウイッシュボーン/後ツインダンパー付きマルチリンク
ブレーキ  前後ともベンチレイテッドディスク
タイヤサイズ 前後とも225/50R16 92V
発売当時価格 399万円


【3】へ続く

初出:ハチマルヒーロー 2017年3月号 Vol.40
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1994年式 ユーノスコスモ 20B Type-SE(全3記事)

関連記事:マツダ

TEXT:HACHIMARU HERO/編集部 PHOTO:MASAMI SATO/佐藤正巳

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