「チェリーは手強かった」ないものはつくるしかないと、ワンオフパーツ製作も|エンドレスが挑む もう一度走りたかったチェリー【2】

エンドレスの花里社長のもとには希少なクルマが集まってくるようだ。街中を走っても不安のないレストアを心がけ、数多くのレストア車両を生んでいる


納屋の中で見つかった1台のチェリー。走ることへの意欲を感じさせながらも、長らく眠っていたボディが路上復帰を拒んだ。そこでエンドレスがチームを組み、新たなプロジェクトをスタートさせたのだった。

【エンドレスが挑む もう一度走りたかったチェリーX-1R vol.2】

 エンドレスの花里社長(当時)も「チェリーは手ごわかった」というようにパーツの収集に苦労したという。特に初期型であったことがさらにハードルを上げ、現時点でもゴム類のパーツが見つかっておらず、一部欠品している状況だ。

 そこで「ないものは作るしかない」とワンオフパーツを準備。マフラーは藤壺技研工業で製作。エンジン不動の状態で持ち込み、採寸。ボディ完成後、マフラーを取り付けるとすんなりと装着できたという。オーバーフェンダーはオリジナルが残っていたが、ウレタン樹脂のような柔らかい素材で、塗装がうまく乗らない。そこで、ファイバーでワンオフ製造することになった。

 エンジンは控えめなハイカム68度を組み込んでSUキャブとの相性を重視。低速域でのトルクフルな走りを実現。これはサニーTSレースで耐久レースに出ていた花里社長の経験から導かれたチューニングセオリーでもあった。

 車高はもっと低くしたいところだが、最低地上高が確保できないので、少し高い印象が残る現在のスタイルに。チェリーはエンジンルームの下方にスペースを広げているため、最低地上高の確保が難しい。そこで、道路交通法に適合したギリギリの高さまで下げられて、スタイリングを設定した。

【画像20枚】当時、エンドレスの花里社長を持ってして、手強かったといわしめるチェリーのレストアだった。取り付けられたチンスポイラーはワンオフで作られている。サニー用パーツの形状を修正し、型を取り、走行性能を考えた角度で取り付けられている


>>室内はレッドを基調とした印象的な仕上げ。エンドレスのレストア車両であることが一目で分かる。シフトノブの上部に配置されているのは、時計とその上の左側にアンメーター、右側に電圧計。


>>メーターパネルはきれいな状態でオリジナルの姿を残している。走行距離は8万kmを示しているが、実際の走行距離とみていいだろう。


>>BRIDEによって作られたオリジナルシートを装備。最高級ブランドedirb110のパターンに空気孔などを追加している。




初出:ノスタルジックヒーロー 2019年 6月号 Vol.193

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


エンドレスが挑む もう一度走りたかったチェリー(全3記事)


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text:Keishi Watanabe/渡辺圭史 photo:Isao Yatsui/谷井 功

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