たった1年だけ存在したクルマ。過渡期に生まれた幻のワークスマシン|日産ラリーカーマニアのバイオレットGTS仕様【2】

FIAの認可を受けやすくするため、バイオレットGTの後継モデル扱いとして市販車には無いグレード名、GTにシルビアのSを付けたバイオレットGTSとした

ハチマルヒーロー誌2016年7月号(VOL.36)で紹介した日産ラリーカーマニアのオーナー。その彼のクルマの中でもひときわマニア度の高い1台がこのUS110シルビア。なぜこれがそんなにマニアックなのか、彼の変態ぶりとともに紹介しよう。

【日産ラリーカーマニアのバイオレットGTS仕様 vol.2】

なぜこんなクルマがたった1年だけ存在したのだろうか。実はFISA(93年まで存在した国際自動車スポーツ連盟でFIA(国際自動車連盟)に統合された)が82年より当時グループ1〜9まであった区分けをグループA、B、C、N、Fへ再編。この過渡期にPA10バイオレットと足回りなどが共通のS110型シルビアをベースしたワークスマシンを開発。

このときFJ20型をベースに製作したFJ24型エンジンを載せた240RSの前に、81年のグループ4に出場したPA10バイオレットに搭載されたLZ20B型エンジンを載せたバイオレットGTSを、グループBと混走できたグループ4車両として投入したのだった。

ちなみに81年までPA10バイオレットで3連覇していたドライバーのシェカー・メッタだが、サファリにおいては、前年まで搭乗していたPA10バイオレットで参戦し見事4連覇を果たす。しかし、83年からは日産と契約を結ぶことができず、日産の連勝記録も途絶えることになった。

【画像28枚】グループ再編の過渡期に開発されたこのクルマが表舞台に出たのはたった一年の間だけだった。ワークス同様のカラーリングが施されたボディ。もちろんCIBIEのフォグランプカバーや網状のヘッドランプガードなども装着


>>プレスプレゼン仕様なのでゼッケンなどは貼られていないサイド。


>>リアウインドーのステッカーは、82年WRCのSAFARIに出場したシルビアの記念ステッカー。本物を持っているが、実際に貼付けたのは複写したもの


>>82年当時、日産から出された数多くのプレスリリースをすべて確認して作っただけに本物以上のクオリティを持つバイオレットGTSレプリカ。カラーリングやステッカーの種類にこだわり、最終的には82年に発表された「チーム・ニッサン・ヨーロッパ プレスプレゼン」のカラーリングを元にした仕様。補助灯が入る部分は実車同様にバンパーがカットしてあり、240RSのメッシュグリルが装着



【3】へ続く


初出:ハチマルヒーロー 2016年11月号 Vol.38
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

日産ラリーカーマニアのバイオレットGTS仕様(全3記事)

関連記事:日産

photo:Motosuke Fujii/藤井元輔

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