<越中八尾>「こんな場所があるとは」風の盆をやっていなくても、八尾の町はたくさんの魅力であふれているのだ|スバル360で素敵探検 大貴 誠のレディーバードの旅 第45回 後編

越中八尾の町の楽しさよ

       
三味線と胡弓の音色に誘われて、涼しくなってきた風に乗りながら、風の盆のふるさと、越中八尾へ。

【スバル360で素敵探検 大貴 誠のレディーバードの旅 第45回 後編】

このあたりは、立山連峰から富山湾へ流れる水が素晴らしく豊かなところで、何本もの川にはさまれるような小高い場所に、古い神社やお寺と町並みが奇跡のように残っています。

「風の盆」は有名だけれど、その町がこんなにいいところだなんて知りませんでしたよ。この連載で木曽路の奈良井宿や妻籠宿の町並みに感動しましたが、あれほどきっちりと保存されているわけではなく、ふつうに生活が営まれていて、ある意味もっと「こんな場所があるとは」と感動できる町です。ほんと、こんなにいいところだとは(皆さんご存じでした?)。

町の旅館に泊まり、町を歩き、循環バスで旧町内から山間部にも出かけ、町のお寿司屋さんでおいしいお寿司を食べ(天気が良ければ富山湾も見える場所です)、そしてお寿司屋さんで風の盆のビデオを見せてもらい、こぢんまりした「おわら史料館」に出かけて「風の盆」の成り立ちを知り、……これが思いがけなかった。

大正時代、町に住む医者の川崎順二さんという人が、若い頃から酒や音曲を愛す趣味人で、古くから伝わってきた「おわら節」を新たにまとめたんですって。つきあいのある当時の文化人、詩人や作家、日本画家や舞踊家に歌詞を依頼し採譜をし、振り付けを作ってもらって、これを東京の三越百貨店で披露して大評判を取った、それが今、日本全国から何万人も客を呼ぶ「越中おわら風の盆」のもとになったんですって。

このプロデュース能力! そしてセンスのよさ! 大貴誠は、レディーバードで旅をしながら、いろんな面白いものや場所を教えてもらっていますが、その陰にはこういう人がいるのか! 尊敬してあこがれちゃいますね。そんな人になってみたいものです。

祭りを育てた人と、その町の美しさ楽しさ美味しさを五感いっぱいに感じて、これはすごいところに来られたなあと思ったのでした。こんなところだとは知らずにやって来て、見つけてしまった。……ま、この旅はいつもそうなんですけど。そういう旅をしながら、発見した日本のいいところを、お届けできればと思います。

【画像23枚】豊かな水、昔ながらの町並み、八尾町の魅力は有名な「風の盆」だけではないのだ



八尾の町その2

八尾町は旧町内だけではない(当たり前です)。トコトコと走るかわいい循環バスに乗って,旧町内とその外をひとめぐり。立山連峰をバックにした景色を見てるだけで楽しい。途中から乗客が大貴誠だけになったので、運転手さんにいろいろと教えてもらいながらのドライブ(笑)。とにかく水が豊かで、何本も走る川はキラキラと飛沫を光らせながらすごい勢いで流れているのです。これだけ流れが速いと、台風が来ても氾濫することもないそうです。バスから降りたあと、あらためてレディーバードに乗って、印象に残ったところに行ってみました。名もない滝や、段々畑、そして今が盛りの彼岸花、お地蔵さんの赤いよだれかけがクルマの赤とよく似合う! 加賀の七尾駅を移築したという越中八尾の駅舎もいい感じ。駅でまた、さっきの運転手さんと再会。スバル360を懐かしがってくれました。






観光会館とおわら資料館

明治・大正と絹などの集散地としてとても豊かな町だったという八尾町。5月には豪華な曳山が町を練り歩くそうで、観光会館に飾られた曳山も見学できます。「風の盆」を、ただ昔から伝わる民謡だと思っていたら、八尾町に住むひとりのお医者さんが、今の隆盛のもとを作ったとは……! そのことを知ってほんとうにびっくりしました。史料館は、川崎医師の自宅があった場所に建てられていて、当時の建物が残っていてほしかったけど、さすがに無理か。それでも、その場所で古い写真などの展示を見ていると、川崎医師みたいなセンスを自分も身につけて、日本の良さ、旧車の良さをどんどん発信するレディーバードの旅を続けていきたいなと思った大貴誠でした。





おいしいもの

八尾町は山間部なので……と思っていたら、夕ご飯に入ったお寿司屋さん(旅館の人に勧めてもらったお店です)が美味しかった。富山湾すぐそこですもんね。突き出しには富山名物の白エビ。白エビってほんとに、火を入れても白いままなんですねー。旅館では朝食のみのプランで、この朝食がよかった。あっさりした、地のものを使った和食。昆布締めの魚や野菜の煮付け。ありそうでない献立で、もちろんお米は最高においしい。食べるだけで健康になれそう。ほんとにここの旅館は良かったです。2日目の晩ごはんは、ちょっと離れたところにある「ワイン食堂」にタクシーで。こちらもいろんなものが全部美味しかったー。富山っておいしい。



初出:ノスタルジックヒーロー 2018年 12月号 Vol.190

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

スバル360で素敵探検 大貴 誠のレディーバードの旅 第45回(全2記事)


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前編から続く

text:Rueka Aoki/青木るえかphoto:Rumi Matsusima/松下るみ

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