試行錯誤の末に生み出される逸品パーツ、その開発の舞台裏に潜入【1】TOMEI、エンジン製作のバーチャル見学会

手作業、オートメーションによる、各種加工などを見学

       
日本屈指のエンジンビルダーとして知られる東名パワード。50年以上の歴史を誇る老舗だ。今回はそのファクトリーに潜入。
パーツ開発の舞台裏を拝見した。卓越した技術と充実の設備から生まれる逸品の数々から、内燃機関へのこだわりが感じ取れる。

【TOMEIのエンジン製作のバーチャル見学会 東名パワード 内燃機関へのこだわり Vol.1】

 東名パワードの前身である東名自動車が誕生したのは、50年以上前のこと。プライベーターだった鈴木誠一さんが立ち上げたガレージがその始まりだ。ドライバーとして、そしてエンジニアとしても、類いまれな才能の持ち主で、瞬く間にその名を全国区にしていく。

 決定的といえたのが、激戦のTSレース「トランズ・ニックス第1戦富士100キロ・レース」での1勝だ。当時、圧倒的な強さを見せていたカローラやパブリカといったトヨタ勢に対し、発売されて間もないB110サニーを持ち込み、勝負を挑んだ。そして鈴木誠一さん自らがステアリングを握った「丸善テクニカサニー」は、おおかたの予想を覆して、見事に優勝をさらったのである。

 その活躍が認められ、東名自動車は関東で唯一の日産モータースポーツ指定店になるなど、着実に存在感を高めた。レース用エンジンやパーツの開発や販売を手がけると同時にドライバーの育成にも力を入れ、星野一義や高橋健二などを支援。これにより若き才能を開花させた名レーサーは多い。


>> 【画像50枚】TOMEIのエンジン製作のバーチャル見学会。大端部の強度を確保するためスラスト方向に当たり面を広く取ったA12型用のH断面コンロッドなど。高回転化に対応する逸品






【ヘッドまわり/カムシャフト】
創業当時から数百種類のプロフィールを設計してきた東名では、カム交換を身近にした「ポンカム」などランナアップは豊富。L型6気筒用だけでも15〜16種類あるとか。





【ヘッドまわり/カムシャフト】
熟練の職人がデータを入力。砥石によりカム山が自動的に削り取られる。







【ヘッドまわり/燃焼室&バルブまわり】
A型とL型については、燃焼室加工やバルブシートカットやセット長合わせ、シートリング打ち換えなどの作業にも対応する。







【ヘッドまわり/タペットカバー】
A型用のタペットカバーは廃番となっているが、復刻も検討中とか。オイルが上に行かないようにするためのバッフルも装備する。






【ヘッドまわり/シム】
バルブのクリアランス調整のために必要になるシム。こうした高い精度が求められるパーツも自社で製作するというから驚きだ。






【ヘッドまわり/バルブスプリング】
不等ピッチのダブルスプリングを採用した11.5mmリフト対応のA型用バルブスプリングも設定。9500rpm対応だ。







【ヘッドまわり/カムプーリー】
バルタイを最適にするために必要なA型用カムスプロケットは細かく調整できるバーニアタイプを採用する。


【2】に続く

初出:ノスタルジックスピード vol.022 2019年11月号
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

東名パワード 内燃機関へのこだわり(全4記事)

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text : DAISUKE ISHIKAWA/石川大輔 photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ) cooperation : TOMEI POWERED/東名パワード

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