半世紀以上前に、巨匠ジウジアーロがデザインしたスーパー軽自動車|1972年式 スズキ フロンテ クーペ GXF【1】

角形ヘッドライトがフロンテクーペの特徴。丸形フォグランプとの組み合わせもおなじみのスタイル

       
【サブロク紳士録 1972年式 スズキ フロンテ クーペ GXF vol.1】

現在の軽自動車分野で確固たる地位を築くスズキだが、その先駆者的モデルといえば1962年に誕生したフロンテだった。当時先進のFF(前輪駆動)で登場し、67年の2代目からはRR(後輪駆動)を採用。「コークボトルライン」と呼ばれる前衛的なデザインが当時の若者の間で話題を集め、国内での販売は一挙に広がっていった。

そして70年になると、エクステリアをさらに磨きをかけた3代目が登場。最初こそ空冷式エンジンだけのシリーズだったが、途中から水冷式エンジンも加わるなど正常に進化を果たしていった。

この頃の軽自動車市場はホンダN360が主役だ。そのハイパワーとパッケージングに対抗するため、各メーカーは続々とモデルを投入していくのだが、71年9月にスズキが繰り出したクルマこそフロンテ クーペだった。

3代目フロンテの水冷エンジンを採用した派生クーペモデルは、イタリアのジウジアーロがデザインを担当。全長3m、全幅1.3mの限られた規格だったが、ノーズを低くし、フロントガラスを深く傾斜させて、さらに三角窓を排すことで洗練されたヨーロピアンテイストを見事に表現。軽自動車といえば足代わりに使う時代だったが、37ps /6500rpmの性能も相まって、当時のクルマファンはこぞってこのスーパー軽自動車を称賛した。





【画像21枚】リア側に搭載されている、水冷2サイクル直列3気筒のLC10W型エンジンなど。オーバーホールを施してきれいな状態を維持しており、点火系はセミトラ化して信頼性を上げ、効率化を図った


>>フロントボンネットのクーペGXエンブレム。


>>マスコットバッジはフロントグリルに取り付けられている。盾と甲冑がモチーフだ。


>>車名頭文字Fを配したエンブレムはテールランプ横に。


1972年式 スズキ フロンテ クーペ GXF

全長2995mm
全幅1295mm
全高1200mm
ホイールベース2010mm
車両重量480kg
エンジン型式/種類LC10W型/水冷2サイクル直列3気筒
総排気量356cc
最高出力(ps/rpm)37/6500
最大トルク(kg-m/rpm)4.2/4500
サスペンション前/後コイルスプリングウイッシュボーン独立/コイルスプリングセミトレーリングアーム独立
ブレーキ前/後ツーリーディング/リーディング・トレーリング
発売当時価格46万円


【2】へ続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2019年2月号 vol.192 
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


1972年式 スズキ フロンテ クーペ GXF(全3記事)


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photo:RyotaSato/佐藤亮太

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