室内にコタツ&ミカンのあるカタログ。想像の斜め上をいくプレーリーの世界・・・|1987年式 日産 プレーリー 2000 4WD JW-G【2】

ピラーレスの大開口フルオープンスライドドアがプレーリー最大の特徴。その開放感とユニークさは写真を見ても明らかだが、ボディ剛性は大丈夫か......と、若干の不安が伴う

       
【RVブームへの序曲となったクルマたち 1987年式 日産 プレーリー 2000 4WD JW-G   Vol.2】

【1】から続く

 さて、ここからはプレーリーがいかにエキセントリックだったのかを振り返りたい。前述のように、プレーリーは最大8名の乗車が可能な多人数乗用車(マルチ・パーパス・ビークル=MPV)なのだが、それまでの一般的なMPVはハイエースやキャラバンのように運転席下にエンジンを搭載する1ボックスのキャブオーバータイプ。ボンネットを持つ背の高いワゴンのようなスタイルのMPVの登場はプレーリーが初だった。そして、後席ドアも大きなトピックで、両側にスライドドアを採用。しかも、それはピラーレスという奇抜さで、ワクワク感が高まる。

 加えて、テールゲートはバンパー部分から開く設定。さらにシートアレンジも多彩で、フルフラットや回転対座が可能と、テンコ盛りの内容。デビュー時のカタログではこれらのメリットを全面的にアピールしているのだが、これまた摩訶不思議。割烹着姿の女性がほうきでフロアを掃き、舞妓さんがシートの上に正座してふすまを開けるかのごとくスライドドアに手をかけ(その背後にはなぜが水着が……)、極めつけは室内にコタツ&ミカンの黄金コンビも登場。プレーリーの世界観は常人の想像をはるかに超えていたのだった。


>> 【画像20枚】S13シルビア用車高調で若干ローダウンしているスタイリングなど。タイヤは純正サイズで、ホイールはスチール&キャップ。後期の1.8Lと1.5Lには減衰力を変化させるオートアジャスタブルショックアブソーバーを採用していた



マイナーチェンジでは内装色を一新。ベージュやブルーが採用されている。また、グレードによってステアリングホイールのデザインが異なるのも特徴(前期も同様)。





7人乗りはフロントセパレート、リアベンチの2-3-2乗車で、フロアシフト。8人乗りは3列ともベンチの3-3-2乗車でコラムシフトとなる。






1〜2列目のフルフラットが可能など、シートアレンジは多彩。まさにミニバンのルーツだ。回転対座は1.8L 8人乗りのJW-Gにのみオプション設定されていた。


1987年式 プレーリー 2000 4WD JW-G (HNM10)

SPECIFICATIONS 諸元
全長×全幅×全高(mm) 4230×1665×1675
ホイールベース(mm) 2525
トレッド前/後(mm) 1430  /  1375
車両重量(kg) 1330
エンジン型式 CA20型
エンジン種類 直列4気筒SOHC
総排気量(cc) 1973
ボア×ストローク(mm) 84.5×88.0
圧縮比 8.5:1
最高出力(ps / rpm) 91 / 5200
最大トルク(kg-m / rpm) 14.8 / 2800
変速比 1速 3.714 / 2速 2.095 / 3速 1.272
4速 0.954 / 5速 0.740 / 後退 3.428
最終減速比 4.471
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション ストラット(前後とも)
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク
リーディングトレーリング
タイヤ 185 / 70SR14(前後とも)
発売当時価格 197.0万円


【3】に続く


初出:ハチマルヒーロー 2016年 9月号 vol.37
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1987年式 日産 プレーリー 2000 4WD JW-G  (全3記事)

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【1】から続く

text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : AKIO HIRANO/平野 陽

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