【2】から続くL型チューンのエキスパートなら、すでに実践している人も多いであろう、クランクの「ケツ切り加工」。OS技研のオフセットウエイトフライホイールは、高度なこのメニューの効果を一気に身近にする。
「クラッチシステムを交換する」ことで、ケツ切りと同じ効果が得られる!?
【OS技研L型エンジン向けオフセットウエイトフライホイール Vol.3】
L28型のチューニングメニューといえば、3L、3.1L、3.2Lが代表的なところ。ピストンはφ88.5mmからφ89mm、φ90mmあたりで、クランクは83mmや85mmストロークの組み合わせで、3.1Lや3.2L仕様としている。排気量が大きい方がパワーもトルクも出る方向性なのは間違いない。ただし、レスポンスという点では、同じL型チューンドでもストロークが短いエンジンに分がある。そして、パワーよりもレスポンスを、スピードよりもフィーリングをというL型ファンが存在することも確かだ。
OS技研が開発を進めているフルカウンタークランクは、そんなレスポンス派のマインドに応えるために78mmのショートストロークの設定となる。78mmというと、L28型のノーマルと同じで、いわゆる3L仕様のスペック。ただし、ノーマルは8ウエイトのためバランスが悪く、しかも重量も重いため、高回転まで回せるエンジンには不向き。
そこで、回転バランスのいいフルカンタータイプとすることで、3.1Lや3.2Lでは味わえない、キレのいいレスポンスを目指すというもの。
開発を担当するのはOS技研きってのレスポンス派である技術開発部の富松拓也チーフエンジニアで、クランクの設計でこだわったのが徹底した軽量化だ。フルカウンタークランクのバランスウエイトをガッツリ削り、79mmショートストロークの軽量フルカウンタークランクとする計画だ。
「最終的には、79mmストロークに芯間140mmの長めのコンロッドを組み合わせて、ハイトの低いピストンを組んで、メチャクチャレスポンスのいい3Lに……」と、超軽量フルカウンタークランクを生かす構想ができているようだ。また、TC24に組み込み、高回転志向の3L仕様にする手も考えられる。なんにせよ、これまでにないハイレスポンスな3L仕様は面白そうだ。
>> 【画像20枚】「クランク後端短縮加工の効果を、身近にする。それがオフセットウエイトフライホイールの開発テーマです。目標をクランク加工同等の性能としたことで、かつてない超ハイレスポンスなフライホイールに仕上がりました」と開発担当の山縣弘行部長。革新的な性能に自信を持つ>> クランクピンは、クランク剛性を上げるために幅狭仕様となる。
>> 連桿比を高めてフリクションを軽減するためにロングコンロッドも計画されているようだ。
OS技研 技術開発部 チーフエンジニア富松拓也さん
79㎜フルカウンタークランクをメインに、かつてないハイレスポンスなL28型改3L構想を練る富松チーフエンジニア。図面を引く手に力が入る。
初出:ノスタルジックスピード vol.022 2019年11月号
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
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