秋山仕様の特殊な形状のロールバー、それに近いデザインのものを発見【2】進化する「頭文字D」レプリカ

フロアパネルは極上の状態を保っていた。過度のボディ補強をすると、パネルの合わせ目などに亀裂が入るなどダメージが及ぶ

       


 ただし、ベースの4A‐G型から約50 ps以上パワーアップした4A‐GZE型エンジンを搭載することから、駆動系に近い部分の強化は必須だ。具体的にはアーム類の付け根、ボディ側のブラケットを強化することを視野に入れている。

 フレームについては、まだ計測はしていないものの、修復歴とは縁のない極上ボディを信じるとするなら、すべてがAE86の基準値に収まっていることは間違いない。
「フレームの数値に狂いが出ていたなら、走りに影響が出るのはもちろんですが、仕上がりの美しいたたずまいも保つことはできません」

 もはや新品で手に入れることが困難になってしまったボディパネル。数えきれないほどの発注を繰り返してきた得知さんは、純正パーツの品質の変遷も見つめてきた。
「1980年代に発注したパネルと、最近の生産終了間際に発注したパネル。どちらも同じ品番の新品パーツでも、形状が微妙に違う」のだという。おそらくはプレス金型の劣化が要因だと思われるが、美しく仕上げるため取付け位置を微妙に調整しながら、気の遠くなるようなチリ合わせの作業を根気よく続けていくのだという。

 そのこだわりはミリ単位というより、ミクロン単位。廃番になったパーツは中古を使わざるを得ず、難易度はさらに上がる。微調整だけで数日を費やすこともある「終わりがない作業」なのだ。カーランド品質は、こうした近道のない地道な作業から生まれている。

 プラスチック部品も同様のようで、テールランプの取付け部分の形状が、ボディとまったく合わないケースもあるという。これは独自のノウハウを駆使しながら、地道に現車合わせを行っていくしか手がないという。多くは明かすことはできないが、フレーム寸法を厳密に基準値に合わせ、パネルにも職人技を注ぎ込み、、最終的にバランスのいい見た目へ落とし込む技術もカーランドにはある。

 そうした努力の末に送り出したAE86たちは、数年経って見かけても「ウチで仕上げたクルマ」というのが明白に分かるという。専門用語で「スキの取り方」と呼ばれるらしいが、そのテクニック、さすがに奥が深い。

 現在の状況だが、ボディチェックと並行して、秋山仕様たるパーツの収集も着々と進んでいる。前述のロールバーのほかに、得知代表が探してきたのがホイール。秋山が履くスチールホイール然とした飾らないデザインのホイールブランドは、ずばり「スプリントハート」風だということが判明。現在ベースのホイールを入手し、秋山仕様に近づけるべくモディファイの方向を模索中だ。もっともオーナー鶴岡さんは、それはもったいないとばかりに、普段使い用にもう1セット別のホイールを用意する意向だという。

 またホイール装着への「関門」のひとつがリアフェンダーのツメをどうするか、という問題。ツメを折れば余裕をもってホイールサイズ選びができるが、ツメを温存するなら履けるサイズに制限ができてしまう。しかし鶴岡さんが選んだのは温存への道。そのまま装着すれば「電車ルック」確定のなか、どんな得ワザを使ってカッコよく魅せてくるのか? 得知さんがどんな引き出しを開けてくるのか、目が離せない。


>> 【画像14枚】約40年前の設計のフレームの上面図など。見るほどにシンプルだ。それゆえに現在まで生き残ったともいえる。交換したパーツの効果が如実に感じられ、自身のドラテク向上具合までも分かりやすく伝えてくれるのだ


>> 拓海をドライブに誘い、助手席でスーパーチャージャーの凄さを体感させる秋山。スプリントハート風のホイール、特異な形状のロールバーが確認できる。









三木さんと鶴岡さんがタッグ!

ハチマルヒーローがきっかけ?本連載でおなじみの声優のお二人、三木眞一郎さん(写真左)と鶴岡聡さんが、スカパー!やCATVなどで視聴できるアニメ専門チャンネル「AT-X」にてオンエア中の「三木眞一郎のおもてなしドライブ」に出演中。毎回素敵なゲストとともにドライブしながら楽しいトークをお届け。三木さんは番組ホスト、鶴岡さんはナレーションを担当している。要チェック!


初出:ハチマルヒーロー 2016年 7月号 vol.36
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

進化する「頭文字D」レプリカ「しなり」を生かした長寿命の秋山仕様へ(全2記事)

頭文字D


【1】から続く

text : KIYOSHI HATAZAWA/畑澤清志 photo : HIROTAKA MINAI/南井浩孝

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