織物工場跡地に潜む、奇跡のランサーEX【1】1980年式 三菱 ランサー EX 1400 GL エクストラインテリア仕様

織物工場跡地に潜む、奇跡のランサーEX

       
ハチマルミーティング2015にエントリーしたランサーEX。その美しきボディもさることながら、見なれないスリーダイヤモンドのホイールが注目をあびた。そんなクルマの保管場所もまた意外な場所だった。

【 1980年式 三菱 ランサー EX 1400 GL エクストラインテリア仕様 Vol.1】

 自動織布機、つまり自動織機は多くのクルマ好きにとって無視できない存在だ。トヨタ自動車はもともと豊田自動織機の中にあった自動車部が始まり。戦前は自動織機工場が愛知を中心に数多く存在していた。

 戦後、自動車産業が愛知県の中心産業になると、数多くあった自動織機工場は自動車部品工場となったが、小規模な工場は廃業を余儀なくされた。

 ランサーEXのオーナーの母親の実家もまた廃業された自動織機工場。現在は住宅地となっているこの場所には、多くの同業者が軒を並べていたという。

 本来であれば取り壊し、住宅にするべきところだったが、引き継ぐ人がいないまま倉庫と化していた。そこにまず目を付けたのが、オーナーの叔父。ミニフリークである叔父さんは、ここにミニのオーナーズクラブ事務局を立ち上げ、レストア作業を行った。現在も看板や郵便受けはミニオーナーズクラブのものとなっている。

 オーナーは三菱デリカオーナーだった父親の影響を受けて、幼い頃から三菱マニアに。18歳で運転免許を取得し、同時にランサーEXターボを購入。しかし購入当時でさえすでに旧車の域に入っていたクルマであったため、予備のパーツを買いあさり、最終的には部品取り車を購入したところで置き場所に困り、結局彼もこの「自動織機工場跡地」にクルマを保管することになった。置き場所ができると今まで我慢していた物欲は開放される。ランサーEXターボだけでなくデリカまで購入。最終的にランサーEXターボ2台、デリカ3台が置かれることに。

 クルマ関連の仕事をしているオーナーは、週末になるとここへ来て、友人とともにクルマを直す毎日。問題はその友人たちまでクルマやバイクを置いていくようになったことだ。たちまちのうちに工場内は部品と数多くの不動車で埋め尽くされてしまった。


>> 【画像18枚】全体が淡いブルーで統一されたエクストラ・インテリア仕様の内装など







>> A型ステアリングで計器類の見やすさが重視されている。





>> 1400のオリオンエンジン。ラリーでの実績をフィードバックしたもの。MCA-JETシステムで排ガス規制もクリアしたモデル。



【2】に続く

1980年式 三菱 ランサー EX 1400 GL エクストラインテリア仕様
SPECIFICATIONS 諸元
●全長×全幅×全高(mm) 4225×1620×1380
●ホイールベース(mm) 2440
●トレッド(mm) 1335/1325(前/後)
●車両重量(kg) 925
●エンジン型式 G12B型
●エンジン種類 直列4気筒SOHC
●総排気量(cc) 1410
●ボア×ストローク(mm) 74.0×82.0
●最高出力(ps/rpm)80/5500
●最大トルク(kg-m/rpm) 12.1/3500
●サスペンション前マクファーソンストラット/後4リンク式コイル
●ブレーキ 前ディスク/後リーディングトレーリング
●タイヤサイズ6.15-13-4PR(前後とも)
●発売当時価格 93万円


初出:ハチマルヒーロー 2016年 7月号 vol.36
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1980年式 三菱 ランサー EX 1400 GL エクストラインテリア仕様(全2記事)

関連記事:ランサー

text:HACHIMARU HERO/編集部 photo:HIROTAKA MINAI/南井浩孝

RECOMMENDED

RELATED

RANKING