レストア時のトラブル解消の一手。くたびれたリレーやヒューズを取り払い、信頼性の高いPDMで一元化【1】MoTeC PDM15|パーツセレクション

MoTeC PDM 15とミルスペックワイヤー

       
リレーやヒューズの機能を集約し、電気配線の効率化やメンテナンス性の向上が図れるモーテックの「PDM」。
その機能は旧車にも最適で、劣化が進んだハーネス系のトラブルとも確実にサヨナラできる。

【 MoTeC PDM15 Vol.1】

 「PDM」とはパワーディストリビューションモジュール(電源分配装置)の略。エンジンの制御システム同様に、もともとレーシングマシンやチューニングカーに向けて開発された電子パーツだ。配線や電源供給システムにおいても、簡素化や一元化によってトラブルの発生を事前に防ぐことは、上級クラスのレースやチューニングシーンでは必須。そのため、このPDMがとても重宝されているのだ。

 そんなPDMが、レース界以上に旧車界で注目を集めている。需要はもちろん配線関係のレストアで、老朽化による電気系のトラブルが多い旧車は、PDMが思いのほか活躍してくれる。旧車に導入するメリットとしては、劣化して正常な電流を流せなかったり、ショートするような危険な状態にある配線やくたびれきったリレーやヒューズを確実にリフレッシュできること。車齢40年超えも決して珍しくない旧車では、経年劣化が進んでいても当然だが、新品ハーネスに交換しようにも、入手が困難なことが多い。PDMの、従来のリレーやヒューズを廃して一元化できる機能は、純正ハーネスが今後一段と手に入りにくくなることを考えても、旧車にはメリットが大きいのだ。

 もちろん、リレーやヒューズをPDMに集約できれば、その分、配線を効率化でき、電気的なロスも減る。例えば、PDMを使ってハーネスを引き直せば、今後は電装品を付ける場合も、配線はいたってシンプルにできる。電力消費が大きくても、バッテリー直のケーブルは不要で、純正ハーネスよりもずっと安定した電源供給が可能だ。


>>【画像21枚】 PDMはデジタル回路でスイッチングするので、ランプの手前までは配線の共有が可能だ。ミルスペックワイヤーは0.5スケアで最大14Aを許容してくれるなど



>> ミルスペックワイヤー(下)は、厳格な米軍準拠の性能規定をクリアする自動車専用の高性能ハーネス。一般的な自動車用20ゲージハーネス(上)の外径が1.9〜2.1mmなのに対し、同じ20ゲージならミルスペックワイヤーの太さは1.32mmと極細。しかも、最大で14Aまできっちり許容する。太さは14〜24ゲージまでの6タイプで、カラーは全10色が揃う。






>> 本体の中央にあるBATT端子がバッテリーとの接続場所。PDMに接続された電気パーツの電源は、すべてPDMから供給される仕組みになる。リレー機能もヒューズ機能もブレーカー機能も、この軽量なマグネシウムボディのボックス一つがこなす。




>> エンジンルームの美しさにもこだわるプロショップ ナカガワのスタイルに、配線をシンプルにできるPDMの電源一括管理システムはまさにうってつけ。自慢のワイヤータックがよりクールにキマる。配線は、ミルスペックワイヤーの耐久性を生かして、左フェンダー上部、エンジンの側面にはわせている。





>> ライトやホーン。フロントまわりの配線も施工前は相当劣化が進んでいた。そんな配線が、施工後はどこにも見当たらない。リレーや不要な配線を取り払える効果はこれほど大きいのだ。





【2】に続く

初出:ノスタルジックスピード vol.019 2019年2月号
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

MoTeC PDM15(全2記事)


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