空冷RRでソレックスタイプの高性能キャブ装着車も! BMWの礎を築いたスポーツクーペ【3】1960年式 BMW 700 クーペ

リアの左側にはBMWの社名エンブレムと車名を示す「700」の数字エンブレムが貼り付けられている

       
1950年代、BMWが倒産の危機に瀕したとき、BMW700が彗星のごとく現れた。
その独創的なメカニズムを採用したエレガントなBMW700クーペの素顔は!?

【気になるクルマをチェック! 掘り出し旧車 1960年式 BMW 700 クーペ Vol.3

【2】から続く


 また、700シュポルトクーペとカブリオレには、ソレックスタイプのツインキャブを装着した高性能版が用意された。カムシャフトなどを手直しするとともに、圧縮比を9.0まで高めて40 ps/5700rpmを達成している。チューニングしたエンジンを保護するためにオイルパンには放熱のためのリブが刻まれた。トランスミッションは、フロアシフトの4速MTが基本だ。最高速度は135km/hである。

 デュボネ式とトレーリングアーム式のサスペンションも強化され、リアにはアンチロールバーを組み込んだ。ロールが抑えられ、ハンドリングは大幅によくなった。1964年には大がかりなマイナーチェンジを行い、ホイールベースを延ばすとともにクーペはツインキャブ仕様だけに絞り込んだ。

 BMW初のモノコック構造のボディを採用した700シリーズは。1965年まで販売が続けられた。その間に19万台に迫る生産を記録し、崖っぷちに立たされていたBMWを見事に立て直したのだ。また、流麗なデザインのクーペは日本車にも強い影響を与えた。今につながるBMWの礎を築いた個性派のライトウエイトスポーツクーペ、それがBMW700クーペである。


>>【画像20枚】初期型に用意されたソレックス・シングルキャブ仕様となっている撮影車のエンジンなど



>> エンジンはリアに積んでいるから、フロントはラゲッジスペースになっている。先端にはスペアタイヤが置かれているが、これは衝突時に緩衝材の役割も果たした。この後ろがラゲッジルームだが、容量は少なめだ。





>> 排気量697ccのR67型エンジンは、当時のオートバイに多かった空冷の4サイクル水平対向2気筒OHVだ。これをリファインしてリアに搭載した。振動が少ないだけでなく、独特のエンジンサウンドを奏でる。





>> テールフィンのなごりを残したリアビュー。コンパクトキャビンに長いオーバーハングの組み合わせだから、実に伸びやかだ。



GLION MUSEUM


ジーライオンミュージアム



国産、輸入車を問わず貴重なクラシックカーを取り揃える
赤レンガ倉庫を活用した格調高いミュージアム、ショールーム、カフェ、ステーキハウスを展開するジーライオンミュージアム。今回紹介したBMW700クーペのような、レアなクルマも多数取り揃える。


大阪府大阪市港区海岸通2-6-39(大阪・赤レンガ倉庫内)
TEL06-6573-3006 http://glion-showroom.com/
営業時間 16:00〜20:00(平日) 10:00〜20:00(土日祝日)
定休日 月曜日(祝日の場合は翌日)
入場料 大人800円 小人(小学生以上)500円
駐車料金 500円

1960年式 BMW 700 クーペ


諸元 SPECIFICATION
全長 3538mm
全幅 1481mm
全高 1250mm
ホイールベース 2121mm
トレッド前/後 1270 / 1194mm
最低地上高 150mm
室内長 1490mm
室内幅 1090mm
室内高 1110mm
車両重量 630kg
乗車定員 4名
最高速度 120km / h
最小回転半径 3.6m
エンジン種類 空冷水平対向2気筒OHV
総排気量 697cc
ボア×ストローク 78×73mm
圧縮比 7.1:1
最高出力 30.4ps / 5000rpm
最大トルク 5.1kg-m / 3400rpm
変速比1速 3.673 / 2速 2.350 / 3速 1.491 / 4速 1.000 / 後退 4.652
最終減速比 5.833
燃料タンク容量 31.8L
ステアリング形式 ラック&ピニオン式
サスペンション前/後 デュボネ式独立懸架コイル / トレーリングアーム独立懸架コイル
ブレーキ前後とも リーディングトレーディング
タイヤは前後とも 5.20-10-4PR
発売当時価格 5300マルク(約45.5万円)



初出:ノスタルジックヒーロー 2018年2月号 Vol.185
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1960年式 BMW 700 クーペ(全3記事)

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【1】【2】から続く

text : HIDEAKI KATAOKA/片岡英明  PHOTO : RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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