ドアノブまで美しい。イタリアを感じさせるミケロッティ作のデザイン【2】1960年式 BMW 700 クーペ

フロントシートは、左右ともに乗り降りしやすいように外側に向いて回転する。1960年近く前に、この機構を採用したのは驚きだ

       
1950年代、BMWが倒産の危機に瀕したとき、BMW700が彗星のごとく現れた。
その独創的なメカニズムを採用したエレガントなBMW700クーペの素顔は!?

【気になるクルマをチェック! 掘り出し旧車 1960年式 BMW 700 クーペ Vol.2】

【1】から続く

 エクステリアを手がけたのは、デザイン界をけん引しているジョバンニ・ミケロッティである。発売されるや、美しいデザインのBMW700は人々を魅了し、ヒット作となった。BMW700は、2ドアのセダンのほか、名門コーチビルダーのバウア社が組み上げた2ドアクーペと爽快なカブリオレを設定する。1964年12月に日野自動車はBMW1300クーペを発売した。両車は同じデザイナーの作品だから、テイストが似ている。

 BMW700シリーズは、リアエンジン、リアドライブ方式だ。空冷の水平対向2気筒OHVをリアに搭載し、後輪を駆動した。R67と呼ばれるオートバイから転用された2気筒エンジンはオーバースクエア設計で、総排気量は697ccだ。シングルキャブ仕様はセダンとクーペの廉価グレードに設定されている。最高出力は 30.4ps/5000rpmだった。1963年からの後期モデルは細部をリファインし、2psのパワーアップに成功している。


>>【画像20枚】細部にまでこだわり抜いたミケロッティの作品だけに、ドアハンドルのデザインもオシャレだ。ドイツ車だが、イタリア車の香りも感じられるディテールだ




>> 細身のグリップのステアリングには華奢なウインカーレバーなどが備わる。四角いデザインのスピードメーターは80マイル(約128km/h)まで目盛りが刻まれている。ちなみにBMW700クーペは、ほとんどが2眼の丸形メーターで、四角いメーターは希少。





>> 小排気量で最高の性能を引き出すためにフロアシフトの4速MTを採用。ステアリングとコーディネートされた白いシフトノブもしゃれている。パーキングブレーキのそばにはヒーターなどの調整レバーが見える。





>> シートとドアトリムはレッドとブラックで張り替えた。




1960年式 BMW 700 クーペ


諸元 SPECIFICATION
全長 3538mm
全幅 1481mm
全高 1250mm
ホイールベース 2121mm
トレッド前/後 1270 / 1194mm
最低地上高 150mm
室内長 1490mm
室内幅 1090mm
室内高 1110mm
車両重量 630kg
乗車定員 4名
最高速度 120km / h
最小回転半径 3.6m
エンジン種類 空冷水平対向2気筒OHV
総排気量 697cc
ボア×ストローク 78×73mm
圧縮比 7.1:1
最高出力 30.4ps / 5000rpm
最大トルク 5.1kg-m / 3400rpm
変速比1速 3.673 / 2速 2.350 / 3速 1.491 / 4速 1.000 / 後退 4.652
最終減速比 5.833
燃料タンク容量 31.8L
ステアリング形式 ラック&ピニオン式
サスペンション前/後 デュボネ式独立懸架コイル / トレーリングアーム独立懸架コイル
ブレーキ前後とも リーディングトレーディング
タイヤは前後とも 5.20-10-4PR
発売当時価格 5300マルク(約45.5万円)

初出:ノスタルジックヒーロー 2018年2月号 Vol.185
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1960年式 BMW 700 クーペ(全3記事)

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【1】から続く

text : HIDEAKI KATAOKA/片岡英明  PHOTO : RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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