オリジナルのラッカー系に代わりウレタン系塗料を使用【10-1】ニッポン名車物語 復活編|トヨタ 2000GT

下地の整えこそが本塗装の質感を左右するため、ここが塗装職人の技術の見せどころ

       
ボディ補修とエンジン内部&補機類のチェック(いわゆるオーバーホール)が終わり、これからは仕上げの工程に入っていく。今回は、ボディ塗装。補修により本来のボディラインを取り戻したこの車体は、塗装によってさらに美しさに磨きがかかる。オリジナルに忠実であり、一切の妥協を許さない完ぺきな仕事ぶりによってボディが完全復活を遂げた。

【ニッポン名車物語 復活編 第十話 トヨタ 2000GT Vol.1】

 トヨタ2000GT前期型の修復作業が進んでいる。今回は塗装に関して報告するが、今後は内装&ガラス関係と駆動系&足回りというのが残るメニュー。完全復活まであと少しだ。

 さて、一言に塗装といっても、これが実は奥が深い作業メニュー。オリジナルの塗料はラッカー系で、退色や黄ばみの発生など、問題点もある。さらに自動車用ラッカー系塗料が時代の流れによって入手困難となっており、2液型ウレタン系塗料を使用している。当時はメタリック系以外はクリアコートはしていないため、当時の新車時の風合いに仕上げるため、この車両もクリアコートをしていない。


>> 【画像18枚】チッピング塗装がなされている下回り部分やフェンダーのインナーなど。防錆や耐久性の高い塗料で、跳ね石なのどの対策のためのもの。もちろんこれがオリジナルと同様の設定



>> ボディの本塗装は部分ごとに行う。トヨタ2000GTは流麗なボディで直線的部分が少ないうえに、切れ目(合わせ目)が少ないことから1つの外板が非常に大きい。さらに下側に行くに従って絞り込まれた形状のため、簡単に塗りを進めていける形状ではない。塗る個所ごとにマスキングして塗るべき部分にのみ塗装する。なお、今回は3コートで塗りとマスキングをパートごとに3回繰りかえしている。





>> 白のカラーリングは、塗料メーカーの品番もすでに廃番となっており、ビンテージカーヨシノのオリジナル調合によるもの。史事をしっかり検証し、さらにこれまでのレストアの経験値からみごとにオリジナルカラーを再現している。まさにビンテージカーヨシノの塗装職人の技といえるものだ。また塗料メーカー別の同系色データも所有しており、どんな状況でも対応できる態勢を整えていることも、ビンテージカーヨシノがトヨタ2000GTの匠と言われるゆえんだ。





>> トヨタ2000GTのインナー部分はブラック塗装。もちろん、ボディとは別色のためボディにマスキングをしてからの作業となる。なお、フレーム部はグレーに塗装。


【2】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2017年12月号 Vol.184
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

ニッポン名車物語 復活編 第十話(全3記事)

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photo : VINTAGE CAR YOSHINO/ビンテージカーヨシノ&NOSTALGIC HERO/編集部 text : NOSTALGIC HERO/編集部

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