BMWの救世主「ノイエクラッセ」のクーペ版【2】1967年式 BMW 2000 CS|輸入車版懐古的勇士

ダッシュパネルには天然ウッドのキャッピングが施される一方、メーターも完備されていることから、高級GTであったことがよく分かる

       
現行「6シリーズ」ないしは間もなく復活する「8シリーズ」など、長らくBMWの魅力を象徴する存在だった高級クーペたち。
その直接のオリジンは、1965年に登場したデカダン的クーペ、「2000C/2000CS」までさかのぼることができる。

【輸入車版懐古的勇士 1967年式 BMW 2000 CS Vol.2】

【1】から続く

 パワーユニットは、翌1966年にはノイエクラッセ(2000)にも搭載される直列4気筒SOHC1990cc。1800のそれをボアアップしたもの。チューンは2種が設定され、スタンダードに相当する「C(クーペ)」では8.5の圧縮比とシングルキャブキャブで100psを発生。最高速度は172km/hとなった。一方、高性能版「CS(クーペ・シュポルト)」では、9.3の圧縮比とソレックス・ツインチョークキャブ2基で120psまでスープアップ。0‐100km/h加速12秒、最高速度185km/hというパフォーマンスを発揮。トランスミッションは4速MTが標準で、Cには3速ATも用意。「CA」とも呼ばれる。

 センターピラーを持たない2ドアクーペのボディは、デビュー当時には自社デザインと公表されたが、現在では3200CSと同じくイタリアのベルトーネにデザイン業務が委託された、というのが定説。3200CSがベルトーネ在籍時代のジョルジエット・ジウジアーロ作品であったのに対して、2000C系はジウジアーロのあとを継いだマルチェッロ・ガンディーニが主導したとされている。

 たしかに異形ヘッドライトを用いた、奇怪とも受け取られがちなフロントエンドの耽美的造形にはガンディーニの作風も感じられるが、賛否両論を巻き起こしたのも事実。1968年、直列6気筒エンジンにより常識的なマスクを組み合わせて登場した上級モデル「2800CS」にあとを譲るかたちで1969年末に姿を消すのだが、現在の6シリーズに至る礎を築いた歴史的価値は高く評価されているのだ。

>> 【画像18枚】この時代には珍しい専用デザインで、今や自動車史上でも重要なデザインアイコンとして賞称されている異形ヘッドライトなど



>> スタンダードのホーンリング付きステアリングにもウッドのデコレーションが施されて豪華な印象をさらに強める一方で、ダッシュパネルの助手席側には物置用スペースも設えられるなど、ドイツ車らしい実用性も備える。





>> シフトレバーは細くて長いものの、ストロークは短めでタッチも心地よい。キャブからの吸気音も相まって、ついつい無駄に変速してしまう。






【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2017年12月号 Vol.184
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1967年式 BMW 2000 CS(全4記事)

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【1】から続く

text:HIROMI TAKEDA/武田公実 photo:MOTOSUKE FUJII/藤井元輔輸入車版懐古的勇士

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