丸ハンドルの3輪車【1】港区にあるスペシャルティーコーヒー専門店の配達車|ダイハツ ミゼット MP4

バーハンドルからステアリングホイールとなったMPシリーズのコクピット

       
コーヒーのデリバリーに都内の細い路地を駆け抜けるミゼット。独特のエンジン音が鳴り響き、振り返る人々。
街になじむその姿は本来のミゼットらしさといえるのかもしれない。コマーシャルカーとして復活した奇跡の2台がここにある。

【 ダイハツ ミゼット MP4 Vol.1】

 近代的な都内のオフィス街に、場違いとも感じられる、きれいなミゼットが止まっている。鮮やかな黄色いホロには「豆虎」の文字が記されている。

 このクルマは50年前に生まれた、正真正銘のミゼットMP4。スペシャルティーコーヒー専門店「豆虎」の配達車両なのだ。現役時代は商店の働き者として活躍したミゼットであったが、現在ではコレクターアイテムとして、大事にしまわれていることが多い。

 ミゼットは大型3輪トラックを製造していたダイハツが、市場の変化を敏感にとらえ、小さな会社でも使える軽3輪トラックを開発したことに始まる。

>>【画像33枚】ステアリングホイールや鋼板の屋根が付き「窓」もついたMPシリーズ。窓を開けるときは、窓全体を内側に落とし込むようにして、窓を畳むようなイメージとなるビニール窓など

 1957年に初代が発売。バーハンドルを採用していたことから、後に「バーハンドルミゼット」と呼ばれたモデル。屋根は幌で最低限の装備しか付いていなかった。エンジンは強制空冷2サイクル単気筒の総排気量249cc。車両サイズは全長2540×全幅1200×全高1500mmだった。

 最高出力は8psで、最高速度は60km/hに達していたという。燃費もよく28km/Lという数値をたたき出した。
 その後、エンジン、形状が変更されマイナーチェンジを繰り返したが、1959年に丸ハンドルのMPシリーズが登場した。ボディサイズは全長2970×全幅1295×全高1455mm。1960年には前モデルをベースに全長を200mm延ばしたMP4が登場した。




>> 店先でスタンバイするミゼット。そのスケール感が店舗の風景とマッチする。





>> 店内の食器はファイヤーキングを使用。レトロなテイストにあふれた店内。



ダイハツ ミゼット MP4

SPECIFICATION 諸元
全長×全幅×全高:2885×1296×1510mm
ホイールベース:1810mm
トレッド:1122mm
最低地上高:140mm
標準荷箱長×幅×高:1160×1100×425mm
最小回転半径:2.6m
積載量:350kg
乗車定員:2名
エンジン型式:強制空冷2サイクル
内径×行程:72×75mm
総排気量:305cc
圧縮比:6.2
標準出力:12hp
タンク容量:15L
変速段階:前進3段・後進1段
サスペンション:半浮動式アクスル&リーフ
ブレーキ:リーディングトレーリング
タイヤ前/後:5.00-9-4P/5.00-9-6P



【2】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2017年12月号 Vol.184
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

ダイハツ ミゼット MP4(全3記事)


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text:KEISHI WATANABE/渡辺圭史 photo:AKIO HIRANO/平野 陽、SATOSHI KAMIMURA/神村聖

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