あの風吹裕矢の「レーシング・スペシャル」【3】夢を夢で終わらせず、作り上げたヤタベRS|サーキットの狼世代へ|ヤタベ RS

リアのカウルを開いてみる。左右のフェンダーと一体となっていることからかなり大きなものだが、アルミ製のため非常に軽くて扱いやすい。

       
誰しもが通ったであろう「サーキットの狼」という漫画。この作品が登場するまで実在するクルマを描き切った作品がなかったことに加え、漫画に登場するスーパーカー群を乗り継いできた作者によるリアルなエピソード。そして、1人の暴走族がF1レーサーへと成長する過程を丁寧に描いたストーリーに酔いしれた。そんなサーキットの狼世代に向け、往年の名車とともにじっくりと堪能できるシリーズをおおくりする。

幻の多角形コーナリングで駆け抜けた
あのヤタベRSを奇跡の実車化

【 ヤタベ RS  Vol.3】

【2】から続く


 事実、ヤタベRSのポテンシャルはすさまじく、永遠のライバル・早瀬佐近が乗るポルシェRSRターボ、隼人ピーターソンのBMW3・0CSLなどのライバルたちと互角以上に戦い、「幻の多角形コーナリング」というミッドシップマシンならではの必殺技も駆使。流石島レースを制するに至ったのだから、「もしこのマシンが本当にあったなら……」と夢見たファンは星の数ほどいたに違いない。

 そして、夢を夢で終わらせず、ヤタベRSを現実のクルマにしようと試みたビルダーが実在し、その意思を「サーキットの狼ミュージアム」のスタッフが引き継ぎ、10年がかりで完成にこぎつけたのがこの1台だ。


>>【画像20枚】アルミのドアはガルウイングタイプ。見た目以上に軽々と上がる。アクリル製となるスライド式となるウインドーなど




>> 漫画と同じフェラーリ308GTBをベースにした380ps/10000rpmのフルチューンエンジンとはいかなかったが、フェラーリ・モンディアルのエンジンを2機用意し、可能な限り作品のイメージを形にしたという。サスペンションは前後ともダブルウイッシュボーン。サイレンサーはステンレスのワンオフ製だ。





>> ディノ246GTのテールレンズを流用したリアビュー。リアウイング、4本出しのエキゾーストも、まさしく漫画から抜け出たかのごとく再現された。



ヤタベ RS (レーシング・スペシャル)

SPECIFICATION 諸元
全長×全幅×全高●4470×1890×1060mm
ホイールベース●2355mm
エンジン種類●水冷V型8気筒DOHC4バルブ
総排気量●3185cc
最高出力●273.7ps/7000rpm
最大トルク●31kg-m/5500rpm
※スペックは池沢早人師ミュージアムに準じる。

【4】に続く


初出:ノスタルジックヒーロー 2017年12月号 Vol.184
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

ヤタベ RS (全4記事)

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【1】【2】から続く

©︎池沢早人師/animedia.com text:KEISHI WATANABE/渡辺圭史 photo:ISAO YATSUI/谷井 功

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