2800GTエクストラと3.0GTリミテッド。2台のトップブレードで徹底解説! 初代トヨタ・ソアラ(Z10)の特徴と変遷。ボディカラー・エンジン仕様・グレード| Z10ソアラ徹底解剖

1981年式 トヨタ ソアラ 2800GTエクストラと1985年式 トヨタ ソアラ 3.0GTリミテッド

       
数あるハチマル世代の名車のなかでも
いまだに人気が高く、存在感も強い初代ソアラ。
その変遷と特徴を2台のトップグレードで解説。

【 Z10ソアラ徹底解剖 】

 デビューと同時に一大旋風を巻き起こし、国産スペシャリティーカーの王様となった初代Z10ソアラ。空力特性を追求することで生まれたフラッシュサーフェス化された端正なスタイル、高性能な新開発のツインカム6エンジン、そしてデジタルメーターに代表される最先端のエレクトロニクス技術を駆使した装備……そのどれもが従来の国産車の二歩も三歩も先を行っていた。また、それらは1980年代に飛躍的に進歩した分野でもあり、Z10がクルマの未来を照らしたのだった。

 そんなZ10のモデルライフを振り返ってみると、デビューは1981年2月で、2.8Lツインカムの5M‐G型の2800GT系と2LSOHCに4グレードを用意。同年7月には2LSOHCターボのM‐T型エンジンを追加した。

 翌1982年には最初の改良を実施。5M‐G型エンジン搭載車に、エンジンを電子制御するTCCS(トヨタ・コンピュータ・コントロールド・システム)と、電子制御4速ATのECT(エレクトロニック・コントロールド・トランスミッション)を搭載したほか、最上級の2800GTリミテッドを追加した点が大きなポイントとなる。


>> 【画像17枚】初代Z10ソアラの外観比較など

 1983年のマイナーチェンジ以降が後期モデルで、内外装を大幅に刷新。メカニズム面も重要なポイントが多く、2LDOHCの1G‐G型エンジンが追加されたほか、ショックアブソーバーの減衰力を自動制御するTEMSが投入された。1984年の小変更では、ドアミラー解禁に伴い、全車に電動調整式ドアミラーを標準装備している。

 モデルライフ終盤に差しかかった1985年は、Z10にとって革新の年となった。最上位モデルの5M‐G型を3Lの6M‐G型に切り替えた。さらに、後にソアラの代名詞となるエレクトロ・マルチビジョンが初めて搭載されたのもこのときである。3Lとマルチビジョンは次期ソアラを示唆する重要なマイルストーンとなり、1年後の1986年1月にZ20へバトンを託した。

 数々の最先端技術が惜しげもなく投入され、進化を続けたZ10は、1980年代の国産車のベンチマークでもあるのだ。





●前期
撮影車両は81年式の2800GTエクストラ。ボディサイズは全長4675×全幅1695×全高1360㎜。フロントグリルは奥行きのあるハニカムデザインで、厚みのある立体的なグリフォンエンブレムが特徴。後期モデルは薄型で羽の部分がくり抜かれたデザインとなる。

●後期
撮影車両は85年式の3.0GTリミテッド。マイナーチェンジでは、ヘッドライトと面一化されたフロントグリルが大きな変更点。リアコンビランプのデザインも大幅に改良されている。また、バンパーの形状変更により全長を20㎜延長しているのも、後期モデルの特徴のひとつだ。

●ボディカラー
ソアラの代名詞でもある2トーンのボディカラーは、デビュー時は1色だったが、82年の 改良で3色に拡大。以降、つねに3色を用意してきた。また、ハイソカーの代名詞となる 純白のスーパーホワイトは、Z10に初めて採用されたものだ。83年のマイナーチェンジで カラーラインナップを一新。スーパーホワイトは継続されたが、3色の2トーンと単色2 色を変更している。名称にリミテッドが付く3色は、その名の通りリミテッド専用色だ。





●エンジン

デビュー時は2.8lの5M-G型と2lSOHCの1G型でスタートしたが、1982年にM-T型、1983年にツインカムの1G-G型を次々に投入し て、ラインナップの拡充を図っている。また、モデル末期の1985年にはトップモデルを5M-G型から3lの6M-G型へスイッチ。最後ま で手を緩めることはなかった。スペック面では、5M-G型が1984年に175ps/24.5kg-m、M-T型が1983年に160ps/23.5kg-m、1G-G型が 85年に130psにそれぞれ向上。次第に激しさを増すパワー競争でも後れをとらず、進化は続いていった。







●ラインナップ
Z10のラインナップのトピックは、なんと言ってもモデル末期の85年に 2.8GTを3.0GTにスイッチしたこと。モデルライフ残り1年でのラインナップ 変更、とりわけトップグレードの変更というのは異例だ。グレード間の違い は、後期モデルを例にすると、リミテッドは本革シートやスーパーモニターを 標準装備。2.0GTと2.0ターボでは、オートエアコンやオートドライブなどが 標準となる2.0GTの方が装備は充実。2lシングルカムでは、VIIは装備が 簡素化したエントリーグレードで、VXは快適装備が充実する。




初出:ハチマルヒーロー 2016年 3月号 vol.34
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

Z10ソアラ徹底解剖(全1記事)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : AKIO HIRANO/平野 陽

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