スーパーカーを彷彿させるヘッドライトと駆け抜けたハチマル・スペシャリティカーたち|我が青春のリトラクタブル

我が青春のリトラクタブルたち

       
スーパーカーの代名詞はハチマル車の象徴

【我が青春のリトラクタブル】

ターボエンジンやピラーレスハードトップ、エレクトロニクスを駆使したハイテク装備。
それらと並ぶ80年代を象徴するアイコンがリトラクタブルヘッドライトだ。
ヘッドライトを閉じているときの美しいスタイルと、開けたときの個性豊かな表情……。
スーパーカーを彷彿させるこのヘッドライトは、羨望を集めて80年代を駆け抜けた。


>>【画像17枚】各車両の外観とインテリアの写真など


【1988年式 フェアレディZ 2シーター 300ZR】


美しさ、速さ、爽快感、世界に誇示する「Zイズム」

 1983年にデビューした、3代目フェアレディZのZ31。ロングノーズ&ショートデッキのスタイリングは歴代モデルを踏襲するが、空力性能を考慮した直線基調のデザインを採用し、Cd値0.31を達成。加えて、先代S130よりも全長を短縮し、運動性能の向上も図られた。そして、最大のトピックスが「パラレルライジングヘッドランプ」と呼ばれる個性的なセミリトラクタブルヘッドライトを採用したこと。精かんなフロントマスクは、その後Z31を象徴するアイコンとなった。

【1989年式 スタリオン 2600 GSR-VR 】


マッチョボディにビッグパワー、これがフルラインターボの旗艦車

 1982年にリリースされたスタリオンは、ギャランGTO、ギャランFTO、ランサーセレステに続く三菱のスポーティーカー第4弾としてデビュー。ギャランΛ(ラムダ)の後継モデルという位置づけだったが、実際にはポルシェ924を仮想ライバルとしたスポーツクーペだ。


【1983年式 マツダ サバンナ RX-7 ターボ GT-X 】


異次元の加速を手に入れた、軽量ボディのREターボ 

 1978年にデビューしたSA22Cは、「運転する楽しみの追求」をテーマに開発。スタイリングは、サバンナの後継という位置付けにもかかわらず大胆に路線変更し、コンパクトなボディサイズに思い切ったローフォルム、そしてリトラクタブルヘッドライトやグラスハッチを採用。当時、子供から大人まで憧れたスーパーカーに遜色ないルックスとなった。さらに、そんな見た目にふさわしいパフォーマンスも獲得。自然吸気ながら、モーターのように高回転まで一気に回るフィーリングを武器とするコンパクトな12A型ロータリーエンジンは、フロントミッドシップに搭載されて50.7対49.3という理想値に近い前後重量配分を実現。スポーツカーらしい軽快なハンドリングを手に入れたのだ。

【1983年式 トヨタ セリカXX 2000GT ツインカム24】


北米マーケットをにらんだ、スーパーグランドスポーツ

 ロングノーズ&ショートデッキのファストバックボディには、当時の若者が憧れたリトラクタブルヘッドライト(トヨタはライズアップライトと命名)を採用。ライバルとなるS130や、同じリトラクタブル車のSA22Cが丸形ヘッドライトだったのに対し、セリカXXは角形ヘッドライトを採用して、より先進性やスポーティー感をアピールしたのだ。さらに、リトラクタブルヘッドライトは空力特性にも大きく影響しており、Cd値0.35を達成。200km/hオーバーのトップスピードを実現しつつ、風切り音の低減に成功している。


【1984年式 日産 シルビア ハッチバック ターボ RS-X】


DOHCターボを手に入れ、スポーツ性を高めた白い稲妻

 S12がデビューしたのは1983年のこと。初代からのスペシャリティー路線を継承しながら、よりスポーティー性やファション性を強く打ち出すことを念頭に開発された。スタイリングは空力性能を考慮したもので、低いノーズにシルビア初のリトラクタブルヘッドライトを組み合わせた強いウエッジシェイプのボディラインが特徴。Cd値は先代と比較して、ハッチバックが0.42から0.34へ、クーペが0.47から0.36へと大幅に向上。この数値を見ただけでも、いかに空力性能の向上に力を注いだかがわかるだろう。

【1989年式 スバル アルシオーネ 2.7 VX】


空力性能を徹底的に追及した、先進のエアロフォルム

 デビュー時のインパクトはとにかく強烈だった。直線基調のクーペボディにリトラクタブルヘッドライトを配したスタイリングは、徹底的に空気抵抗の低減を目指してデザインされたもので、エアプレーンタイプのドアハンドルやスペースタイプと名付けられたフローティング式ドアミラー、サイドエアフラップなどを採用し、ボディー下面のフラットボトム化や各部のフラッシュサーフェス化を実施。細部にまで、スバルならではの航空機作りの発想が応用され、国産車で初めてCd値0.30を上回る0.29を達成(FFモデル)したのである。

【1988年式 ホンダ アコード クーペ インポートエディション】


アメリカ生まれの左ハンドル、輸入スペシャリティークーペ

 このCAアコードは3代目で、1985年6月にデビュー。アコードは1976年の初代で低公害エンジンのCVCCを搭載、1981年の2代目でクルーズコントロールや日本初のオートレベリング・サスペンションを採用するなど、先進的なモデルとしてホンダの中核車種へと成長。そして、CAアコードはFF車で世界で初めて4輪ダブルウイッシュボーンサスペンションを採用したほか、新開発エンジンも投入している。


【1983年式 マツダ コスモ 2ドア ハードトップ ロータリーターボ リミテッド】


角形4灯リトラが異彩を放つ、ロータリーターボのスペシャリティー

 多くのリトラ車のなかで異彩を放っていたのが、この3代目HBコスモだ。1978年にデビューしたSAサバンナRX‐7に続いてリトラを採用したHBコスモは、1981年にフルモデルチェンジ。この世代はルーチェと姉妹車になったこともあり、伝統の2ドアだけでなく、4ドアハードトップと4ドアセダンもラインナップされたが、リトラはよりスポーティーかつ高性能をアピールしたハードトップ系のみに採用された。

リトラクタブルライトの始まり


80年代を象徴する憧れのアイテム、リトラクタブルにときめく 




初出:ハチマルヒーロー 2016年 1月号 vol.33
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

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