ショーカーから生まれた伝説のSUV【2】ほぼそのままで! ショーモデルを市販モデルへ展開したいすゞの英断|1999年式 いすゞ ビークロス 175リミテッドエディション

リアの「ISUZU」デカールが立体となるのが175リミテッドエディションの特徴。同様にボディサイドの「Vehi-CROSS」も立体デカールとなる

       
ショーカーから生まれた異端児
伝説のクロスオーバーSUV

【 1999年式 いすゞ ビークロス 175リミテッドエディション Vol.2】

【1】から続く

 いすゞの英断は尊敬に値する。そして、ここまで忠実に市販モデルへ展開した努力に拍手を送りたい。というのも、量産車は安全面をはじめとしたクリアしなければならない要件が多い。そのため、とくにデザインは見栄えの良いショーカーから変更せざるを得ないのが実状だ。そんな常識を覆したビークロスは、まさに伝説の1台。市販モデルがお披露目されると、スタンディングオベーションが鳴り止まないほど大絶賛された。
 秀逸で斬新なデザイン面ばかり強調されるが、ビークロスはいすゞの4WDらしくタフな性能を持っている。シャシーはラダーフレームで、ビッグホーンのショートホイールベース版を使用。駆動方式はトランスファー付きのパートタイム4WDで、2H/4Lの切り替えが可能。さらに、タイヤのスリップを検知すると前後駆動力を0:100の後輪駆動状態から50:50の直結4WD状態まで、無段階かつ自動で制御する「TOD(トルク・オン・デマンド)」を備える。ちなみに、ショートホイールベースでTODを持つのはビークロスだけ。本格クロカン4WDレベルのポテンシャルを秘めているのだ。

>>【画像24枚】ビークロスの特徴でもあるFRP製ダークグレーパネルのボンネットなど。晴天時の照り返しを防ぐことが目的で、これはラリー参戦のノウハウからフィードバックされた




>> この個体はエアコンまわりなどのパネルをカーボン調に変更し、室内全体の統一感を図っている。ダッシュボードにはナビモニターとセンタースピーカーを設置する。





>> オーソドックスな2眼のメーターデザインだが、カーボン調パネルがスポーティーにドライバーの目を楽しませる。左端にTODの動作状況が表示される。





>> トランスミッションは4速ATのみ。トランスファーでFR駆動の2H、駆動力を自動配分するTOD、直結4WDの4Lの3種類に駆動モードを切り替えることが可能。





>> 175リミテッドエディション専用のレッド×ブラックの2トーンレザーシートは、「Vehi-CROSS」ロゴ入りのレカロ製。



1999年式 いすゞ ビークロス 175リミテッドエディション(V55W)


SPECIFICATIONS 諸元
全長×全幅×全高(mm) 4075×1875×1915
ホイールベース(mm) 2420
トレッド(mm) 1590(前後とも)
車両重量(kg) 1990
エンジン型式 6G74型
エンジン種類 V型6気筒DOHC
総排気量(cc) 3496
ボア×ストローク(mm) 93.0×85.8
圧縮比 10.0:1
最高出力(ps / rpm) 280 / 6500
最大トルク(kg-m / rpm) 35.5 / 3000
変速比 1速 3.789 / 2速 2.057 / 3速 1.421 /
4速 1.000 / 5速 0.731 / 後退 3.865
最終減速比 4.272
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション前/後 ダブルウイッシュボーン / マルチリンク
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ 265 / 70R16(前後とも)
発売当時価格 390.8万円

【3】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2016年 1月号 vol.33
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1999年式 いすゞ ビークロス 175リミテッドエディション(全3記事)

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【1】から続く

text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : MAKOTO INOUE/井上 誠

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