世界に1基!? 20年後に再燃した、オーナーのTCエンジンへの想い|1969年式 ダットサン ブルーバード SSS Vol.2

味わったことのない加速とレスポンス!   あこがれのパフォーマンスに陶酔の日々。

       
あこがれのエンジンを楽しむために旧車乗りになった。そんな一風変わった510ブルーバードのオーナーが九州にいる。彼をとりこにしたエンジンはL型4気筒ベースとなるOS技研のTC16-C1。兄貴分の6気筒TC24-B1の後発でリバイバルが望まれるも、いまだ正式な発表のない幻のハイレブパワーユニット。現在、世界に1基だけの究極のL型4気筒を、彼はいかにして手に入れ、どう味わうのか。せん望のTC16-C1ライフを紹介する。

【1969年式 ダットサン ブルーバード SSS Vol.2】

【1】から続く

 自称、TCファンクラブ会長。TCエンジン(TC16-C1)を楽しむために、この510ブルーバードを購入した。OS技研が独自で開発したDOHC4バルブヘッドを搭載したL型ユニット「TCエンジン」にほれ込むオーナーとTCとの出合いは、今から30年ほど前にさか上る。

 当時、まだ免許を取ったばかりのオーナーが、その存在を知り、密かにあこがれたのが、OS技研の元祖TC24‐B1だった。まだ18才の若造には、手にすることなど想像もできなかった夢のレーシングエンジン。掲載された雑誌を何度も見返す日々。思いは、当たり前のように片思いで終わった。

それから20年、オーナーのTCエンジンへの想いは再燃する。パソコンで復活したTC24の情報を調べるたびに、自分のものにしたいという思いが募った。そして、やがて訪れた試乗の機会が、ついに自らもTCのオーナーになるという意思を決定づける。

「OS技研の富松拓也さんが、TC24を搭載する彼のS30Zに試乗させてくれたんです。それが僕のTC初体験であり、オーナーになると決めた一番の動機です。手に入れたいという思いが、あの実体験でピークに達したんです。もう、抑えられないと感じました」


>>【画像48枚】エンジンに刻印されたTC16-C1の文字など。この文字が刻まれたエンジンは、世界に1基、このユニットのみだ



キャブレターはウエーバー48DCOEの2連装。当時モノにこだわった起用だ。より大口径な50DCOEへの換装がオーナーの将来の夢。





レーシングエンジンと同じようにアルミ製のウオーターラインがタコ足の上を通る。φ48mmとなるタコ足は4本目。試行錯誤が繰り返された逸品だ。




1969年式 ダットサン ブルーバード SSS(P510)
SPECIFICATIONS 諸元
■ エクステリア:リスタード製FRPボンネット/カウルトップ/フロントフェンダー/トランク
■ エンジン:OS技研TC16-C1、ボアφ89mm×ストローク78mm(1940cc)、圧縮比13.5:1、OS技研鍛造ピストン、L14型用コンロッド(フルフロー加工、SQ処理)、L18型用フルカウンタークランク(オイル穴加工、ラッピング、AQ処理)カム320度(11.5mmリフト)、バルブスプリングセット荷重23kg(フルリフト荷重52kg)
■ 点火系:MSD、OS技研製デスビ(プロトタイプ)
■ 吸気系:ウエーバー48DCO S/P(アウターベンチュリーφ42mm、ニードル250、エアジェット220、メインジェット185、エマルジョンF4、ポンプジェット50)
■ 排気系:OS技研製φ48mmタコ足、長瀬発動機製φ60mmワンオフマフラー
■ 冷却系:リフレッシュ60製大容量ラジエーター(電動ファン)、亀有製16段オイルクーラー
■ 燃料系:燃料ライン引き直し(φ10mm)
■ 駆動系:OS技研Aタイプツインプレートクラッチ(フライホイール軽量加工)、直結5速クロス、インプレッサ用R180デフケース(ファイナル4.444)、OS技研スーパーロックLSD、亀有強化フランジ
■ 足回り:(F)全長調整式車高調(バネレート10kg/mm) (R)TRDショックアブソーバー(ショート)、強化スプリング(16kg/mm)
■ ブレーキ:(F)エンドレス製パッド (R)S30Z用アルフィンドラム(加工)
■ タイヤ:ポテンザRE71R 165/55R14
■ ホイール:ボルクレーシングTE37 14×7J ±0
■ 内装:Defi NSタコメーター/NS追加メーター(油圧、油温、水温)

【3】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2018年2月号 vol.015(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1969年式 ダットサン ブルーバード SSS(全6記事)

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【1】から続く

text : ISAO KATSUMORI(ZOO)/勝森勇夫(ズー)photo : RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

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