大破してしまったレーシングカーとの関係|BOB SHARP RACING DATSUN 280Z Vol.2

ワイドフェンダーもつなぎ目のない状態となるのが本来の姿だが、撮影車はリベットで後付されているのがわかる。

       
【BOB SHARP RACING DATSUN 280Z Vol.2】

【1】から続く

 翌1976年の早い時期に走行中のクラッシュが原因で手首を負傷したボブ・シャープはドライバーとしては引退。その後は、俳優のポール・ニューマンやトム・クルーズ、実の息子であるスコット・シャープなど、数々の才能あふれるドライバーをチームに迎え、90年代初頭に至るまで華々しい戦績を残し続けた。西海岸におけるダットサンの知名度を飛躍的に高めた先駆者がBREだとすれば、ボブ・シャープ・レーシングはその名声を東海岸にも広め、ダットサンがレーシングカーとしての高いポテンシャルを備えていることを証明した功労者ということができるだろう。

 実際のレースを走った240Zは前述のとおり、ボブ・シャープ自身のクラッシュによって大破してしまい、残念ながら現存していない。だが、レースを新車販売のキャンペーンとも捉えていたボブ・シャープ・レーシングは、デモンストレーションやディスプレー用の車両も当時から製作していたという。いわば当人によって作られたレーサー・レプリカとでもいえる車両だが、今回撮影した個体もそんな一台。ボブ・シャープ本人と息子のスコット・シャープが2012年に出演したテレビ番組のワンシーンに、同車が自宅ガレージに止められているところがちらりと映っている。

>>【画像17枚】グッドイヤーのスリックタイヤは前が23.5×10.5-16、後が25.5×12.0-16。BBS製のメッシュホイールを装着する撮影車など




ソレックスの3連キャブレターを装備。





調整式キャンバープレートを装備。





70年代のアメリカ・レースシーンを席巻した ボブ・シャープ・レーシングの240Z


初出:ノスタルジックヒーロー 2016年12月号 vol.178(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

BOB SHARP RACING DATSUN 280Z(全3記事)

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【1】から続く

photo:AKIO HIRANO/平野 陽 text:HIDEO KOBAYASHI/小林秀雄

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