年間販売台数は国内が千の単位、輸出モデルは万の単位。アメリカをも魅了した淑女｜1970年式 ダットサン 240Z　Vol.2

フェアレディという車名は、日産のスポーツカーの名前として、今なお、さん然と輝いている。そのルーツは、1959年6月に登場したダットサン・スポーツ（S211）にさかのぼる。翌60年1月にエンジン排気量を1Lから1.2Lにアップ。ダットサン・フェアレデーの車名が与えられ、輸出専用モデル（SPL212）として生産が続けられた。その後のSP/SR、S30フェアレディZと、国産スポーツカーの雄として、多くのファンを魅了したクルマであることは、皆がよく知っている。そんなフェアレディ各モデルを、個体それぞれが持つ「物語」と一緒に、振り返っていこう。

【1970年式 ダットサン 240Z　Vol.2】

【1】から続く

　1969年に誕生した「フェアレディZ」、国内仕様は2L SOHCのL20型と、24バルブDOHCのS20型エンジンの2本立てでスタートしたが、北米輸出仕様にはL20型のボアとストロークを拡大した83.0mm×73.7mmの2393ccの排気量を持つL24型が与えられた。海を渡ったダットサン240Zは、安価なスポーツカーを求めていたアメリカの人たちからの爆発的な支持を受け、バックオーダーを抱えるほどの人気車へと成長。国内の年間販売台数が千の単位であったのに対し、輸出モデルのそれは万の単位であったことからも、いかに海外で愛されたクルマであったかがうかがい知れるだろう。

　1969年に240Zから始まったアメリカ輸出モデルは、1974年に260Zヘ、1975年に280Zへと、国内市場とは違った独自の進化を遂げていく。しかし、1969年秋から販売された最初のモデル「70年型」（注・アメリカでは前年秋から、その年の秋までを1つのサイクルとしているので、69年秋に出たモデルも70年型と呼ぶ）だけは、ディテールの違いや生産台数の少なさから、マニアの中でも一目置かれる存在となっているようだ。


▶▶▶【画像23枚】スポーク部に穴が開いていないステアリングホイール、灰皿の位置がシフトレバーより前にあるなど、S30初期モデルならではの細部の違いもノーマルの状態を保つコクピットなど



L20型エンジンのボア、ストロークを拡大し、150psの高出力を得るにいたったL24型エンジンを搭載。この成功が日本でのフェアレディ240Zの発売へとつながった。





左ハンドルと右ハンドルの違いは、内装の配置のみならず、エンジンルームの各種パーツの配置にも影響を及ぼす。左ハンドルの場合、ブレーキのマスターバックやタンデムシリンダーも向かって右に組まれることになる。





ラジエーターのコアサポートに貼られたラベル。カラーナンバー920は、サファリゴールドを示す。



1970年式 ダットサン 240Z（HLS30）
Specification　諸元
全長 4115mm
全幅 1630mm
全高 1285mm
ホイールベース 2305mm
トレッド前/後 1355 / 1345mm
最低地上高 160mm
室内長 835mm
室内幅 1390mm
室内高 1075mm
車両重量 1045kg
乗車定員 2名
最高速度 205km / h
登坂能力sinθ 0.46
最小回転半径 4.8m
エンジン型式 L24型
エンジン種類 水冷直列6気筒SOHC
総排気量 2393cc
ボア×ストローク 83.0×73.7mm
圧縮比 8.8:1
最高出力 150ps（SAE） / 5600rpm
最大トルク 21.0kg-m / 4800rpm
燃料供給装置 SUキャブレター（φ46mm）×2
変速比 1速 3.549 / 2速 2.197 / 3速 1.420 / 4速 1.000 / 後退 3.164
最終減速比 3.7
燃料タンク容量 60L
ステアリング形式 ラック&ピニオン式
サスペンション 前後とも独立懸架ストラット式
ブレーキ 前/後ディスク / リーディングトレーリング
ホイール 14×4.5Jスチール製
タイヤ 前後とも175HR14
発売当時価格 2万4000ドル

【3】に続く

初出：ノスタルジックヒーロー 2016年10月号 vol.177（記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです）

1970年式 ダットサン 240Z（全3記事）

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