「人とは違うオリジナリティー」通算4回目となるエンジンリニューアル!|1971年式 日産 スカイラインHT 2000 GT-R Vol.2

ボア径は1mm拡大するものの、ストロークはあえてノーマルの62.8mmをキープした2038cc。クランクはナプレックに特注した鍛造フルカウンターで、パーツの入手が容易なL型用メタル仕様となっている。

       

半端ではないエンジンの作り込み

【1971年式 日産 スカイラインHT 2000 GT-R Vol.2】

【1】から続く

 GT‐Rでサーキットを走るようになったのも、これまでに築いてきた人脈やネットワークの影響が大きい。GT‐RオーナーズクラブやJCCAのイベントで走る機会が重なり、徐々にハマっていったのだ。今ではベストタイムをコンマ1秒単位で削ることに夢中になるほど熱中している。

 ホームコースはグランプリコースである鈴鹿サーキット。富士スピードウェイ、ツインリンクもてぎ、岡山国際、オートポリスといった主要コースのほか、セントラル、中山などのローカルコースも走るが、やはり鈴鹿が一番のお気に入り。長いストレートと数々のテクニカルなコーナーとの調和は絶妙で、無心で走ることが「ただただ楽しい」と感じさせてくれる。

 こうしたライフスタイルの変化とリンクして、クルマ作りもどんどんスポーツ色を強めていく。とくにボディはハードランを見すえ、ハコ換えのタイミングでフルストリップを行い、スポット増しなどの補強を施工。リア+サイドで構成する8点式ロールケージも張り巡らせ、頑強に仕上げられる。

 このボディに搭載するエンジンの作り込みもハンパではない。ボアφ83mm×ストローク62.8mmで2037ccとなったS20型改には、CP製鍛造ピストン、鍛造H断面の強化コンロッド、鍛造フルカウンタークランクなどが組み込まれる。過去にはストロークアップの2.3L仕様にも挑んだが、高回転域での振動が大きくなるリスクがあるロングストロークは避け、S20型の美点である高回転の伸びや爽快感を強調したエンジンの製作を決意した。

 その切り札となるのがナプレックに製作を依頼したワンオフのクランク。あえてノーマルストロークをキープして設計するほか、フルカウンター化によってフリクションが大幅に低減され、より高回転志向を強めることが可能になった。実は2.3L仕様でブローを経験しているだけに、ローリスクで安定して高出力を発揮するエンジンであることに強くこだわったのだ。

 以上の仕様が完成したのが、今から5年前のこと。その間にも結構なペースでサーキットを走り込み、シフトダウンで「今のはヤバかったかな」と自覚するオーバーレブも2回ほど経験している。とくにパワーの低下を感じていたわけではないが、致命的なダメージにならないうちにリフレッシュを施し、なおかつサーキットでの戦闘力をさらに高めるため、通算4回目となるエンジンリニューアルを行った。その本格的なシェイクダウンを前に、取材&撮影に時間を取ってもらった。

飛び石などでのレンズ破損を防ぐため、サーキットを走る際に装着されるワークス用のレーシングジャケットなど【写真34枚】


【3】【4】に続く



手曲げならではのパイプの取り回しの美しさにこだわり、熟練のクラフトマンによって生み出されるYSガレージのタコ足。6-2レイアウトの中で、高回転域での伸びと官能的なエキゾーストサウンドとの調和を狙って、集合ポイントやパイプの取り回しを決定。パイプ径はφ42.7mm→φ60mm→φ70mmに設定。手曲げならではのステンレスの焼け色も美しい仕上がり。





ボア径は1mm拡大するものの、ストロークはあえてノーマルの62.8mmをキープした2038cc。クランクはナプレックに特注した鍛造フルカウンターで、パーツの入手が容易なL型用メタル仕様となっている。




フレックスのアルミラジエーターは放熱塗料を塗布し、冷却性アップを図る。


1971年式 日産 スカイラインHT 2000 GT-R(KPGC10)
SPECIFICATIONS 諸元
■エクステリア:PROTEC製フロントスポイラー/リアスポイラー、FRPボンネット、トランク、カウルトップ、オーバーフェンダー/ブルーブラック全塗装
■エンジン:S20型改(240ps仕様:テクノモーティブ)/CP製φ83mm鍛造ピストン(WPC加工)/鍛造H断面コンロッド/NAPREC製フルカウンタークランク/L型用メタル/燃焼室ペントルーフ加工/ロングリフター/調整式カムスプロケット/チタンバルブリテーナー/強化バルブスプリング/ギア式オイルポンプ&オイルポンプギア
■点火系:MDI/PROTEC製プラグコード
■吸排気系:MSRφ45mm/YSガレージ製φ42.7mm手曲げタコ足/小澤商会製ワンオフマフラー
■冷却系:FLEX製アルミラジエーター/ラジエーター放熱塗装/日産レース用オイルクーラー
■駆動系:OS技研製ツインプレートクラッチ/ザウルス製カーボンプロペラシャフト/クワイフ製シーケンシャルドグミッション/R200デフ/エスコート製アルフィンカバー、ビレットデフマウント/軽量フライホイール
■サスペンション:ラバーソウル製車高調整式エナペタルショック(F:10kg/mm、R:22kg/mm)/キャスター調整式ピロアッパーマウント/シルビアハブ/SP-TEC製ハブ変換キット、調整式スイングアーム
■ブレーキ:(F)300mmガーランド製2ピースローター+APレーシング製PRO5000キャリパー、(R)280mmS14用ディクセル製スリットローター+S15スペックR用純正キャリパー
■インテリア:レカロSP-G+SR2/ワークスタイプ10000rpmタコメーター/大森製メーター(油温、水温、油圧、電圧)/亀有製メーター(燃圧)/HKS製ノックA/F計/東名製空燃比アナログメーター/S2000純正スタートスイッチ/SP8点式ロールバー
■タイヤ:HOOSIER製ターマック用(予定)(F/R)200/580R15
■ホイール:レイズ・ボルクレーシングTE37V SL
(F)15×9J-15、(R)15×9.5J-20(予定)


初出:ノスタルジックスピード 2015年11月 Vol.008 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1971年式 日産 スカイラインHT 2000 GT-R(全4記事)

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text:HIROSHI SHOMATSUMOTO/正松本 宏 photo:RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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