S20型ベースで300馬力オーバーへ!|1971年式 スカイライン HT 2000 GT-R|ヴィンテージスピードパワーチェック Vol.3

チューンドS20型エンジンを本気チェック! 2台のパワーチェック先鋒は1969年式 スカイライン 2000 GT-R。

       
ヴィンテージスピード・パワーチェック Vol.【3】
【1971年式 スカイライン HT 2000 GT-R】


 最初にチャレンジしたのは、本誌Vol.004の巻頭特集に登場した黒澤カラーのKPGC10。

 S20型改2.5Lフルチューンを搭載するこのGT‐Rは、以前のパワーチェックで313psをマークしたそうだが、その記録を伸ばすことができるのか。あいにく、この日は雨で気圧が低く……。

 1回目は、暫定のセッティングとしてメイン/エアともに190のジェットを選択。しかし早々とトラブルが発生。スリップを抑えるために装着してきたタイヤが、まったくグリップしなかったのだ。そこでタイヤを交換し、エンジンのフィーリングからメインのみ210に交換することに。すると、さっそく大台の300psをオーバーしてしまった。とはいえ、まだ上を狙える余裕があるため、今度はメインを210、エアを200に交換。パワーは301psまで向上した。

アール・ファクトリーの相原直人さんによるキャブのジェット交換など【写真13枚】

 ただ、思った以上の変化が見られなかったため、相原さんはエマルジョンチューブの交換を決断。それまでのF16からF2にし、ジェットは暫定的にメイン180、エア170をセット。その結果、303psをマークした。なお、数値的には先ほどから大きく上がったわけではないが、空燃比がグッと良くなったことが大きな収穫。この結果から、その後はメインを190で固定し、エアを順次上げて行くという方向に定めた。そして、エアを170から10刻みで上げていった結果、220でベストを更新。316ps/30.7kg‐mをマークしたのだった。

 なお、エンジンのキャパシティー的ににはまだ余裕があると相原さん。セッティングとコンディション次第では、330psも夢ではないそうだ。





 今回のパワーチェックでは、上図のようなステップを踏んだのだが、ターニングポイントとなったのは4回目。エマルジョンチューブをF16からより細いF2に交換したことで、空燃比が良くなり、その後は空気の流入量を増やすにつれてパワーが上がっていったのだ。

また、レブリミットを8500rpmに設定してこのパワーだから、さらに高回転まで回せばよりパワーを出すことも可能だが、エンジンの消耗を考慮し8500rpmでストップ。仮に10000rpmまで回せば、330psオーバーか!?   

パワーは8500rpmまで落ち込みナシ

グラフを見ると、4500rpm近辺と6000rpmあたりで小さな谷間が確認できるが、それ以外はキレイなパワーカーブを描いていることが分かる。また、トルクは7000rpmあたりから徐々に下降しているものの、パワーは計測ポイントの8500rpmまで落ち込むことはなかった。さらに上まで回し切れば、よりパワーが出るはずだ。






サクラダイノでは、100rpm刻みで計測馬力/修正馬力/修正トルク、空燃比がモニターに表示されるため、どの回転域で空気が薄いか、どの回転でパワーが出ているかなど、事細かく分かるのだ。その結果を踏まえて、メインやエアなどのジェット類を変更し、最も乗りやすい状態にセッティングする。もちろん、ドラッグレースと周回レースでは求めるパフォーマンスが異なるので、それに合わせてセッティングを行うことも可能だ。

アール・ファクトリーの相原直人さんによるキャブのジェット交換など【写真13枚】


Vol.【4】へ続く

1971年式 スカイライン HT 2000 GT-R
SPECIFICATIONS 諸元
●エンジン:S20型改2550cc/ボアφ85mm×ストローク75mm/圧縮比11:1/ヘッド加工/300度カム(リフト10.0mm)/RB26型用バルブ/鍛造ピストン/H断面コンロッド/フルカウンタークランク/ギアトレインオイルポンプ(アルミ製)/ATIダンパープーリー
●吸排気系:ウエーバー48DCOE99/2/φ42.7mm等長タコ足/φ75mmステンレスマフラー(サイド出し)
●点火系:和光テクニカルCDI /NGK製レーシングプラグ
●冷却系:スギタラジエーター/2連電動ファン/純正オプションオイルクーラーラー
●駆動系:OS技研製ツインプレートクラッチ/71Cクロスミッション/R200+LSD(ファイナル4.6)




初出:Nostalgic SPEED 2015年07月 Vol.007 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


関連記事:1971年式 スカイライン HT 2000 GT-R

関連記事:チューンドS20型エンジンを本気チェック! ヴィンテージスピードパワーチェック

関連記事:スカイライン

関連記事:S20型

text:Rino Creative/リノクリエイティブ photo : TAKASHI AKAMATSU/赤松 孝

RECOMMENDED

RELATED

RANKING