日本のグループAレースも含めてディビジョン2はBMWのエボリューションモデルの一人舞台|1989年式 BMW M3 Vol.3|ハチマルレースモデルの超絶技巧

M3の特長は、ピックアップに優れたエンジンとバランスの良いシャシーの組み合わせ

       
【 1989年式 BMW M3 Vol.3】

MEMORY OF THE RACE「グループA」

 ノイエクラッセ系となる1800~2002、E9系の3.0CSL、E24系の635、E28系の528、E21系からE30系の3シリーズと、主要モデルをツーリングカーレースに投入してきたBMWは、文字どおり「ツーリングカーの老舗」を地で行くメーカーだ。

 グループAレースはレギュレーションの適用となる1982年から528、635、323で最高峰のETCに参戦。一時期ホモロゲーション対策をうまく進めたボルボやジャガーに主導権を握られる場面もあったが、E30系にグループA対策モデルの「M3」を投入してから、この力関係は完全に逆転。M3と同じ経緯で誕生したディビジョン1のシエラRS500とグループAレースを席巻することになる。

 M3の特長は、ピックアップに優れたエンジンとバランスの良いシャシーの組み合わせを武器に、マカオのようなツイスティなコースでは、格上のシエラさえ凌駕するポテンシャルを発揮した点にあり、日本も含めてディビジョン2は、ほぼM3に独占される事態が生まれていた。

チューニング内容が異なる234Eと234Sが存在する名機S14型エンジンなど【写真6枚】

1989年式 BMW M3 (E30) 主要諸元
全長×全幅×全高(mm) 4345×1680×1365
ホイールベース(mm) 2560
トレッド前/後(mm) 1410/1435
車両重量(kg) 1200
エンジン型式 S14型
エンジン種類 水冷直列4気筒DOHC
総排気量(cc) 2302
ボア×ストローク(mm) 93.4×84.0
圧縮比 11.0:1
最高出力(ps/rpm) 210/6750
最大トルク(kg-m/rpm) 24.5/4750
変速比 1速 3.720 / 2速 2.400 / 3速 1.770 / 4速 1.260 / 5速 1.000 / 後退 3.460
最終減速比 3.250
ステアリング ラック&ピニオン式
サスペンション前/後 ストラット/セミトレーリングアーム
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ 205/55R15(前後とも)
発売当時価格 5万8000ドイツマルク(withoutoption)

初出:ハチマルヒーロー vol.19 2012年11月号(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1989年式 BMW M3(全3記事)

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ハチマルレースモデルの超絶技巧

text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo:DAIJIRO KORI/郡 大二郎

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