【初代フェアレディZ徹底ガイド】
1969年11月に発売されてから78年8月にフルモデルチェンジするまでの9年間販売された初代フェアレディZ。各所の改良やマイナーチェンジを繰り返し、追加されたモデルもあれば、排ガス規制のあおりを受け姿を消してしまったモデルもある。そんなS30Zの変遷、各グレードの展開をここに紹介しよう。
初代フェアレディZの歴史
1969年11月
●フェアレディZシリーズ発売 オープンカーのフェアレディ1600/2000の後継車としてクローズドボディのフェアレディZが登場。グレードはL20型エンジン(1998㏄、最高出力130ps、最大トルク17.5㎏-m)を搭載した4速MTのベーシックモデルのZと、これをベースに5速MT、AMラジオカーステレオ、ストップウォッチ付き時計、リクライニングシート、パッシングランプ、助手席フットレストなどを装備したZ-Lをラインナップ。また高性能モデルとしてスカイライン2000GT-RのS20型(1989㏄、最高出力160ps、最大トルク18.0㎏-m)を搭載したZ432も用意され、さらにこのZ432をベースとしたコンペティションモデルZ432-Rがレース参戦前提のユーザーのみに販売された。
1970年10月
●Z-Lにニッサン・フルオートマチック付き車両が追加 ●全グレードにレギュラーガソリン仕様車を設定 それまでハイオクガソリンのみの設定だったS30Zだったが、ガソリン中に含まれる鉛による公害問題が取りざたされ、レギュラーガソリン仕様車を追加。L20型エンジンで最高出力が120ps、最大トルクが17㎏-mとなり、S20型エンジンは最高出力155ps、最大トルク17.6㎏-mに抑えられることになった。
1971年3月
●ベーシックモデルにもニッサン・フルオートマチック付き車両が追加
1971年10月
●シリーズマイナーチェンジ リアハッチのウインドー下にあったエアアウトレットをクオーターパネルに移設。ステアリングスポークが穴開きのものに変更された。 ●240Z/240Z-L/240ZGを追加販売 輸出用モデルに搭載され、国内レースや海外ラリーでその性能が実証されていたL24型エンジン(2393㏄、最高出力150ps、最大トルク21.0㎏-m)を搭載したモデルを追加。イメージリーダーとなる240ZGはFRP製エアロダイナノーズ、オーバーフェンダーを装着し、空気抵抗を軽減。最高速度が240Z、240Z-Lより5㎞/h上回る210㎞/hを記録した。
1973年10月
●マイナーチェンジ 外装ではテールランプ、リアガーニッシュのデザインが変更され、バックランプが独立してリアガーニッシュ内に配置。内装ではダッシュボード、センターコンソールが変更され、リアウインドーの熱線が縦から横に変わった。 ●Z432/240Zシリーズの国内販売中止
1974年1月
●Z/Z-Lに2by2が設定 全長を310㎜延ばし、後席を設けて4人とした2by2が登場。シート地は2シーターモデルがビニール地であったのに対し、平織り布地となった。グレードはZとZ-Lの2種類で、L20型エンジンなどメカニズムに関する点は2シーターモデルと変更なし。
1975年9月
●昭和50年排ガス規制に適合させ、一部改良 環境問題に対する関心の高まりから排ガス規制を実施。これに対応するため全車キャブレターから電子制御燃料噴射装置(ニッサンEGI)に変更したL20E型エンジン(最高出力130ps、最大トルク17.0㎏-m)を搭載。排ガス浄化システム(NAPS:ニッサン・アンチ・ボリューション・システム)を装備。
1976年7月
●昭和51年排ガス規制に適合させ、一部改良 51年規制に合わせてNAPSを改良。型式がS30からS31に変更される。 ●Z-T/Z-T 2by2がラインナップ Z-Lよりもさらに装備を充実させたZ-Tが追加販売。Z-LをベースにFM/AMマルチラジオカセットステレオ、スポットランプ、電動式リモコンミラー、パワーウインドー、アルミホイールを装備。
1978年8月
●フルモデルチェンジしS130系へ
初代フェアレディZのエンジン仕様一覧
エンジン型式 | S20 | ← | L20 | ← | ← | L24 |
搭載期間 | 69/11〜73/10 | 70/11〜73/10 | 69/11〜71/10 | 70/11〜75/9 | 75/9〜78/8 | 71/10〜73/10 |
使用燃料 | ハイオク | レギュラー | ハイオク | レギュラー | レギュラー | レギュラー |
型式 | 直列6気筒DOHC | 直列6気筒DOHC | 直列6気筒SOHC | 直列6気筒SOHC | 直列6気筒SOHC | 直列6気筒SOHC |
排気量(㏄) | 1989 | 1989 | 1998 | 1998 | 1998 | 2393 |
ボア×ストローク | 82×62.8 | 82×62.8 | 78×69.7 | 78×69.7 | 78×69.7 | 83×73.3 |
最高出力(ps/rpm) | 160/7000 | 155/7000 | 130/6000 | 125/6000 | 130/6000 | 150/5600 |
最大トルク(㎏-m) | 18.0/5600 | 17.5/5600 | 17.5/4400 | 17.0/4400 | 17.0/4400 | 21.0/4800 |
圧縮比 | 9.5:1 | 9.0:1 | 9.5:1 | 8.6:1 | 8.6:1 | 8.8:1 |
気化器 | 3連ソレックス | 3連ソレックス | 2連SU | 2連SU | ニッサンEGI | 2連SU |
初代フェアレディZ生産/輸出台数一覧
西暦 | 生産 | | 輸出 | |
| 年間台数 | 累計台数 | 年間台数 | 累計台数 |
1969 | 1162 | 1162 | 3 | 3 |
1970 | 21837 | 22999 | 17005 | 17008 |
1971 | 44998 | 67997 | 40219 | 57227 |
1972 | 65956 | 133953 | 60025 | 117252 |
1973 | 58596 | 192549 | 51332 | 168584 |
1974 | 62961 | 255510 | 54026 | 222610 |
1975 | 72503 | 328013 | 55417 | 278027 |
1976 | 72565 | 400578 | 64597 | 342624 |
1977 | 84156 | 484734 | 75975 | 418599 |
1978 | 91220 | 575954 | 74784 | 493383 |
>>【画像18枚】Zの鼓動。初代フェアレディZ。初代フェアレディZのエンジン仕様一覧、生産/輸出台数一覧など初出:ノスタルジックヒーロー 2017年8月号 Vol.182
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
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